毛織物メーカーの中伝毛織(愛知県一宮市)は2018年1月1日付で、傘下で染色整理を手掛ける匠整理を、同業の藤井整絨(愛知県一宮市)と合併する。50:50の対等合併ながら、匠整理の設備や人員は藤井製絨に移管・統合、新会社の名前も藤井整絨になる。新会社の代表取締役会長には中島幸介・中伝毛織社長が、社長には現・藤井整絨の石川光輝・社長が就任する。統合による人員整理は行わない方針だ。
統合の背景を中伝毛織の中島君浩・副社長は「1年後2年後ではなく、長い目で考えて、両社が長く生き残れる道を選んだ。種々の設備を抱える整理業は量の確保が重要で、統合による合理化効果は高い。設備の移転は、藤井整絨が24時間稼働できる体制だったこと、比較的設備や建屋が新しかったことなどから決めた。統合後は設備投資も積極的に行っていく」という。
匠整理は、中伝毛織が廃業を表面した外注先を買収する形で06年に設立。主にグループ内の6割の紡毛織物の染色整理を行っていた。一方、藤井整絨は名門企業として知られ、高級な梳毛織物やニットなどを手掛けていた。統合後の新会社は、紡毛から梳毛、ニットまでをワンストップで手がけられるようになる。
両社が拠点を置く愛知県一宮市は、毛織物の産地として知られるが、国内生産の縮小が続く中で、日本の産地では整理や統合が相次いでいる。世界的な合繊織物産地として知られる北陸でも今年に入って、織物大手の丸井織物が、東証2部上場の染色加工大手の倉庫精練を傘下に収めていた。