旭化成・繊維の4〜9月決算は、売上高が前年同期比12.6%増の661億円、営業利益が同10%増の66億円だった。高級裏地素材のキュプラ繊維「ベンベルグ」とスパンデックス「ロイカ」、人工スエードの「ラムース」という主力3事業がいずれも好調だった。坂本修一・旭化成取締役兼常務執行役員は、「『ラムース』はカーシート、『ロイカ』はオムツなどの衛生材料で、『ベンベルグ』は全分野で、いずれも増販だった。下期は一部の事業で定修工事が入るため、期初予想より利益は低くなるが、総じて需要は堅調が続く見通し」と語った。通期では売上高が同7.4%増の1350億円、営業利益が同6.8%増の125億円を見込む。
スパンデックス繊維とナイロン繊維で競合関係にある米インビスタが衣料向けの繊維事業の大半を、中国の紡織大手でレナウンを傘下に持つ山東如意グループに売却すると発表したことに対しては、「インビスタもスパンデックス『ライクラ』をグローバルかつ幅広く展開している。当社は同事業を高機能・高性能に絞って取引先とパートナーシップを推進するハイエンド戦略を取っており、そのことに変更はない。オーナーが米国企業から中国企業に変わることで、経営方針が変わる可能性もある。今後も動向を常にチェックしていく」とコメントした。