資生堂は11月7日、アメリカ地域本社で連結子会社のシセイドウ アメリカズ コーポレーション(SHISEIDO AMERICAS CORPORATION)を通じて、AI(人工知能)関連のベンチャー企業、ギアラン(GIARAN)を買収した。
ギアランは米国ノースイースタン大学のシナジェティック メディア ラーニング ラボラトリーから独立したAI専門家のレイモンド・フー(Raymond Fu)が創設。ビッグデータやAR(拡張現実)などのAI技術を用い、データマイニングや予測モデリングの新しいアルゴリズムを開発している。ARを駆使してバーチャルにメイクアップをしたり、素顔に戻したりする技術に加え、メイクアップのアドバイスやカラーマッチング、パーソナルコンサルティング、顔の測定、肌色診断技術を提供している。これらの技術はモバイル端末やタブレット、デスクトップパソコン、スマートミラーに応用可能で、資生堂傘下の全てのメイクアップとスキンケアブランドで使用する。
マーク・レイ(Marc Rey)最高経営責任者(CEO)は、ギアランを買収することによって得たAI技術は消費者動向やリサーチ、商品開発、商品の機能性向上に活用できると意気込む。「ギアランはテクノロジーと消費者、AI、ビッグデータを全て結びつけ、消費者との素晴らしい関係を届けてくれるだろう」。ジル・スカラマンドル(Jill Scalamandre)資生堂グローバル・メイクアップ・センター オブ・インテリジェンス プレジデントは「消費者はこれらの技術を活用しながら商品を試すことができると、同時にさまざまな肌色や骨格、好む色などがわれわれのデータとして蓄積される。そのデータを今後の商品開発などに生かすことが可能で、今までにない消費者体験を提供できる」と語った。
なお、フー=ギアラン創業者は今後、資生堂の社員としてチームを再編成する。ギアランはマサチューセッツ州ボストンに拠点を置いたまま、メイクアップのセンター・オブ・エクセレンス(本拠ニューヨーク)と本社の技術チームと密接に連携し、技術を強化する。また、資生堂は1月にシセイドウ アメリカズ コーポレーションを通して、スマホアプリを用いて測定した肌色に合うカスタムメードのファンデーションを提供するマッチコー(MATCHCO)を買収したばかりだ。マッチコーの技術は現在「ベアミネラル(BAREMINERALS)」で使用しており、今後は他ブランドでも応用する予定だ。