「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)の2017年4~9月期決算は売上高が前年同期比10.2%増の56億500万ユーロ(約7398億円)、純利益が同80.3%増の9億7400万ユーロ(約1285億円)と増収増益だった。低迷していた高級時計の売れ行きが復調した。地域別に見ると売り上げ全体の約50%を占めるアジア地域は同18.1%増の26億5400万ユーロ(約3503億円)で、その中でも中国・香港・マカオ地域が同25.6%増の14億400万ユーロ(約1900億円)だった。日本は同0.4%増の4億7900万ユーロ(約632億円)と横ばいに推移した。
また、同社は役職を新設し、二つの人事異動を発表した。エマニュエル・ペラン(Emmanuel Perrin)=カルティエ インターナショナル セールス ディレクターは、これまでの卸売先との関係構築の実績が評価され、スペシャリスト ウオッチメーカー ディストリビューションのトップに就任し、「IWCシャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)」「オフィチーネ パネライ(OFFICINE PANERAI)」「ピアジェ(PIAGET)」などのブランドを統括する。さらに、ジェローム・ランバート(Jerome Lambert)を最高執行責任者(COO)に任命した。ランバートCOOは「カルティエ」「ヴァン クリーフ&アーペル」以外の全てのリシュモン傘下のブランドを統括し、同職就任以前から担当していた財務・人事・IT以外のバックオフィス機能の統括業務も引き続き担う。
同社はこれまで消極的だったeコマース領域に取り組み、直営店の運営や新たな卸売りの機会を探る。ブルクハルト・グランド(Burkhart Grund)=リシュモン最高財務責任者(CFO)は、eコマースがウオッチ事業のビジネスモデルを阻害する原因となっていた時期もあるが、現在の顧客はウオッチを購入するチャネルを気にしない傾向にあると分析。ウオッチに関しては今後も独自のeコマースでの販売に加えて、リアル店舗も増やしていくという。また、ヨハン・ルパート(Johann Rupert)=リシュモン会長も、「顧客の需要と供給をマッチさせることにフォーカスしていく。そのためにビジネスモデルを現在の環境に適応させるために進化を続けていく」と説明した。
その方針に則り、主要株主となっているラグジュアリーECサイト「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」や「ミスター ポーター(MR PORTER)」は「ピアジェ」「IWC」などの傘下ブランドのウオッチを取り扱っている。また、「カルティエ」は初めて自社以外のECサイト「ザ ウォッチ ギャラリー」で販売している。
加えて、リシュモンはレザーグッズを強化するため、1945年創業のイタリアの高級レザーグッズブランド「セラピアン(SERAPIAN)」を買収したことを認めた。