ファッション
2000号記念連載

2000号製作を通じてファッション編集者からビジネス記者へ

 「WWDジャパン」2000号が11月6日に発売された。1979年の創刊から現在に至るまで、39年分のファッションニュース、時代を象徴するコレクションなど過去を振り返りつつ、現代を象徴するデザイナーや経営者たちのインタビューを掲載し、ファッションの未来を探る特大版だ。そこで「WWD JAPAN.com」では2000号の制作に携わったスタッフのコラムを不定期連載でお届け。ファッションの過去と未来を今号で見つめた、老若男女幅広いスタッフたちの気付きや意見から得られることも多いはずだ。

 はじめまして、「WWDジャパン」編集部の三澤です。メンズ誌畑で編集者を17年間続けてきまして、そのほとんどを「みさわっちょ♪」で通し、さらには無駄に(!)誌面に登場もしてきましたので、ギョーカイ内の皆様には「ああ、あの!?」な方もいらっしゃるかもしれません。この場を借りて新天地からのご報告を差し上げる次第です。

 170ページの大ボリュームとなった2000号。そのメーンコンテンツは「WWDジャパン」39年の歴史を振り返るものでした。1年を1ページとして全39ページ。実務を担当したのは、入社1年目と2年目の男女7人。僕が「WWDジャパン」の一員となったのは2017年の4月21日ですから、新入社員の方が社歴は2週間ほど長いわけ……です。そんな「WWDジャパン」と“同級生”のオールドルーキー39歳は、6月に2000号のプロジェクトリーダーという大役を拝命し、文字通り呻吟しながら校了を迎えました。

 「古いがエラい!」を旗印に、トラッドとかヘリテージといったメンズの濃い世界にどっぷり浸かってきた身としては、ウィメンズのきらびやかさや、巨大な数字が飛び交うファストファッションの世界に完全に借りてきた猫状態で……。これまでは(悪い意味で)惰性でできてしまった仕事も、日々是勉強なわけです。

 「WWDジャパン」は新聞ですが、雑誌との決定的な違いは、雑誌が0から1というトレンドを生み出す仕事なら(今、雑誌にその力はないかもしれませんが……)、新聞は100ある事象を1にまとめ分かりやすく伝えるのが任務であること。取材対象やそこに登場する人が雑誌時代と重なるものだから、ついうっかりしてしまうのですが、今僕に求められているのはファッション誌の編集者ではなく業界紙の記者であることなんです。ファッションビジネスの最前線を取材し、時には取材対象者に嫌がられる情報も、業界に資するものであれば伝えるBtoBの世界にいます。……と言うは易しですが、現実は3歩進んで2歩下がる状態。汗を拭き拭き匍匐前進している僕に比べて、7人の“1年生”と“2年生”はまぁ優秀でした!

 エディターとしてのキャリアをスタートさせた23歳当時の僕は、思い切り背伸びして、そこからさらに垂直飛びするほどがんばって夜遊びにふけったものです。社内や取引先のセンパイにたかってはゴールデン街、新宿二丁目を回遊。クラブで朝まではしゃいで、タバコ臭さプンプンのまま出社……な毎日。社会人デビューの極みでした(笑)。

 それが7人のサムライの、まぁ勤勉なこと!1を伝えれば先回りして3を返してくれる有能さも持ち併せており、飲みニケーションだけを武器に裏街道を歩いてきた野武士タイプの僕とは、まるで出来が違うんです。感心してたら、「まだですか?」なんてケツを叩かれたりもして。

 そんな彼らの「今、感じるファッションビジネスの疑問や気付き」を「23歳の視点」としてコラム調に差し込んでいるのも、振り返りページの特徴です。業界内の暗黙のルールも、社会人1、2年目の彼らの目には奇妙に映ります。今やそのルールを変えられる立場にあるみなさんも、23歳だったあの頃を思い出しつつ、初々しい(だけど、しっかりと己を持つ)彼らの生の声に触れてみてください。


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