左から、MIKI、DIAN、Neetz、Gottz PHOTO BY TOSHIO OHNO
昨年11月のメジャーデビューアルバム「KANDYTOWN」から1年、今や彼らなしでは東京のシーンは語ることができない存在となった総勢16人のヒップホップ・クルーがKANDYTOWNだ。デビューアルバムは高い評価を受け全国ツアーも成功、メンバーそれぞれがソロアルバムや関連作を発表するなど、クルーとしても個人としても精力的な活動を続けたこの1年を締めくくるように、9月には待望の今年度第1弾作品「Few Colors」をリリースした。昨年の「リーボック クラシック(REEBOK CLASSIC)」との「Get Light」に続く、「ティンバーランド(TIMBERLAND) 」とのタイアップソングだ。音楽業界だけでなく、ファッション業界からも熱い視線を受ける彼らを代表してDIAN(MC)、Gottz(MC)、Neetz(トラックメーカー・MC)、MIKI(トラックメーカー)の4人に楽曲制作のこだわりやファッション観など話を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):メジャーデビューから1年、周りの反応はどう?
Neetz:俺らのワンマンじゃなくても、ライブでガッツリ盛り上がるようになりましたね。
Gottz:浸透したな、と思います。街なかで声をかけられるようにはなりました(笑)。
DIAN:純粋に自分たちを観にきてくれる人たちは増えましたね、ちょっとだけですけど(笑)。
WWD:気持ちの変化は?
Neetz:真剣に“音楽”を考えるようになりました。結構遊びでやってたのが、ちゃんと考えてやらなきゃなって。
DIAN:アーティストとしての意識は芽生えましたね。
VIDEO
WWD:先日リリースした「ティンバーランド」との楽曲「Few Colors」の苦労やこだわりは?
MIKI:メンバーには他にもトラックメーカーがいるんですけど、「ティンバーランド」の曲を作る話があがった時にすぐNeetzと作ろうと思いました。それで話し合って色々曲を聴いて作ったんですが、曲調やメロディー部分をブランドのイメージに合わせました。俺がイメージする「ティンバーランド」は、明るいサウンドのブランドじゃなくて、落ち着いていて“霧がかかった森”。
Gottz:最初にできたビートはもっとイナタかったよね?
MIKI:そう、わざとイナタい90年代のテイストにしたんです。
Neetz:初めてみんなに聴かせたらMVのディレクションも考えてるIOが「もうちょい最近っぽいのが良い」って言って、みんなも何か違うなって(笑)。それから次の日にはもう作り直しましたね。
WWD:だからPVも“霧がかかった森”が舞台なんですね。
DIAN:そうです。知り合いの別荘を借りて(笑)。
MCのDIAN PHOTO BY TOSHIO OHNO
WWD:リリック(歌詞)はMCを担当したGottz、Neetz、DIANそれぞれが?
DIAN:今回、トラックを担当しているNeetzとはやり取りしましたけど、リリックを書く時はあまり他のメンバーとコミュニケーションは取りませんでした。最初は「ティンバーランド」を意識して書いてましたけど、結局自分が書きたいリリックに収まりましたね。
MIKI:ラッパーが他人に書いてもらったら終わりですね。
WWD:トラックとリリックはどっちが先?
MIKI:だいたいトラックが先ですね。
DIAN:そのあと今回はメンバー全員がトラックを聴いて、やりたいメンバーがやりました。
WWD:去年リリースしたアルバム「KANDYTOWN」もそんな感じ?
Gottz:それはMIKIとNeetzの2人とRyohuが大量に曲を持ってきて、その中からメンバーが自分で選んだり、この曲は誰っぽいとかで決めましたね。
MIKI:そのあと、メロウな曲ばかりだと一辺倒だからNeetzともうちょっとアッパーな曲が必要だね、みたいな感じで2人で自然に持ち寄って足して足してって感じです。
Neetz:それぞれが得意なところを担当して、補えないところをお互いが意識して作りましたね。
PHOTO BY TOSHIO OHNO
WWD:ヒップホップのアーティストは普段から「ティンバーランド」を履いているイメージがあります。
DIAN:今日も履いてます(笑)。タイアップの話があがる前からプライベートで何足も持ってました。
MIKI:やっぱり定番の“6インチ”はみんな持ってましたね。
左から、DIAN、Gottz、MIKI、Neetz PHOTO BY TOSHIO OHNO
WWD:みなさんはスタイリストをつけず、ライブの時でも私服と伺いました。こだわりも強いかと思いますが、ファッションは好き?
MIKI:僕は実家が下北沢の古着屋「SMOG」だったんで小さい頃から身近でしたね。ファッションは音楽と一緒で自分の感性だと思っているので、常に自分が良いと思ったモノを着るようにしています。
Gottz:俺もシンプルでもいいから常に良いモノは着ていたい、って思いはあります。
Neetz:特に自分はブランドも含めてこだわりはないです。「着られている」ような無理してる感は出さないように、自分が着たいものを着る。
DIAN:YUSHI(一昨年事故で他界したKANDYTOWNのメンバー)が残した服とかはライブで着がちですね。
MIKI:YUSHIはチョー服を持ってて、もらったのモノはいまだに着てます。今でも着れるくらいYUSHIは良いモノ選んでたんだな、って。
DIAN:着ると気持ちが入るんです。あとはライブで同じ服を2度着たくはないので、なんとなくプライベート用とステージ用の私服も考えてますね。
MIKI:ライブでしか着れない、みたいなのもあるもんね(笑)。普段だと目立ちすぎちゃうけどステージだと映える、みたいな。自分のテンションを上げるためにも。あとGottzが中学生の頃から先輩にヒップホップと一緒に「シュプリーム(SUPREME)」を教えてもらって着てたから、俺は絶対に「シュプリーム」は着ないです。俺の中ではもうGottzが着るブランドだから(笑)。
WWD:やっぱりメンバーっぽい服装とかブランドはある?
MIKI:小学生の頃から一緒のメンバーとかもいるので統計的に(笑)。お店で洋服とか見てても「これ誰々っぽいなー」とかありますし、このあいだGottzにはカート・コバーン(Kurt Cobain)みたいなサングラスをあげました(笑)。持ってる服をあげたりもしますね。DIANは渋いです、夏場でもブーツ履いちゃう人(笑)。
Gottz:わかる、短パンを絶対に履かないイメージがある。
WWD:去年のインタビューの時も「ティンバーランド」のブーツでしたよね?
DIAN:そういえばそうですね(笑)。重たいのが好きなんです。
MIKI:柄シャツとか派手なヤツ、色があるヤツも着てないですね。着てもバーガンディーみたいな(笑)。
トラックメーカーのMIKI PHOTO BY TOSHIO OHNO
WWD:他のメンバーから見てセレクトショップ、グロウアラウンド(GROW AROUND)の店員でもあるMIKIはどう見る?
Neetz:良いモノを着ているイメージ。
Gottz:たっかいコートとかね(笑)。
MIKI:俺は「高くても一生着れる、墓場まで持っていけるな」みたいな“ずっと使えるモノ”を選ぶんです。その時だけの1シーズンしか着れない、みたいなモノは買わないですね。流行だけを追わず、良いモノを見極める。ファストファッションは絶対に買わないです。
WWD:ここにはいない他のメンバーは?
MIKI:KIKUMARUはもう「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」のイメージ。ばっかり着てる(笑)。IOは「ディオール オム(DIOR HOMME)」が似合うなーとは思います。ハイブランドの中でも、タイプ的に「ディオール」。
DIAN:ハイブランドのイメージはあるね。
MCのGottz PHOTO BY TOSHIO OHNO
WWD:海外のヒップホップのアーティストは、ハイブランドをこぞって着ています。
MIKI:金があるなら別にいいし、着れたらいいなとは思う。そのためにやっているだけではないので。
Gottz:着てみたいとは思いますね(笑)。ハイブランドではないですけど、ドレイク(Drake)だったりが何気なく「ストーン・アイランド(STONE ISLAND)」とかを着てるんですよ、インスタにアップしてる移動中の写真とかで(笑)。何気なく着てると良いなって。
トラックメーカーでMCのNeetz PHOTO BY TOSHIO OHNO
WWD:最近は地上波でフリースタイルの番組が放映されるなど、ヒップホップがまた世間に認められつつありますが、どう思う?
MIKI:もっと浸透すればいいなと思います。アメリカくらいに。向こうはメーンストリームがヒップホップ。そういう状況になればいい。
Neetz:フリースタイルダンジョンとかが入り口になるわけじゃないですか。それから音源を知って「ビートがダサいよね」とか言えるまでになればいいなって(笑)。
DIAN:俺のビートを使え、ってね(笑)。
WWD:なぜヒッポホップが流行ると思う?
MIKI:それはやっぱりアメリカが流行ってるからじゃないですか?そのアメリカで定番化されてて、音楽の1番の市場だし。
Gottz:海外は何か近いですよね。R&B寄りですけど、ザ・ウィークエンド(The Weeknd)が「H&M」とコラボしたり、セレーナ・ゴメス(Selena Gomez)と付き合ったり、なんとなくですけどそういうところかなって思います。
WWD:最後に1つ、お客さんのファッションは気になる?
Gottz:地方とかに行くと俺らに憧れてくれてるってわけじゃないですけど、「カーハート(CARHARTT)」とか自分たちと関わりの深いブランドを着てる人が多くて、めっちゃ嬉しいです。
MIKI:このあいだライブに「Get Light」のPVのYOUNG JUJUのまんまのお客さんがいて、Neetzとライブ中ですけど盛り上がりました(笑)。
DIAN:自分たちのことをそうやって見てくれるのは本当にうれしいです。
MIKI:KANDYTOWNのファンはみんなイケてますよ。