インターネットで古本の買取・販売を行うバリューブックス(長野県、中村大樹・社長)が新サービス「バリューブックス・エコシステム(VALUE BOOKS ECOSYSTEM)」を発表した。古本として買い取った本が売れた場合、出版元に利益の一部を還元するというサービスだ。まずは同社でも流通量が多いアルテスパブリッシングと英治出版、トランスビュー、夏葉社という4つの出版社と提携し、売り上げの33%を還元する。
バリューブックスの2016年度の売上高は16億4000万円。年間の古本販売部数は243万点におよぶ。同社は買取・販売をする中で値段がつかず、寄付も出来ずに古紙回収へと回されてしまう本がある一方で、きちんと買取できる本ばかりを作る出版社があることに気付いたという。同社いわく、「値段がつけられない本は短期間で消費され、市場にあふれてしまったもので、リユース率が高い本は長期間にわたって多くの人に必要とされ、 読み継がれている本だ」。そこで、出版社と提携して二次流通の利益を還元し、もっと読み継がれる書籍を作って欲しいと考えた。
「メルカリ」をはじめ、中古品の売買を行う二次流通市場は今や成長産業で、市場規模は1兆5000億円を超えたといわれる。しかも、その中でダントツのシェアを占めるのはアパレルだ。しかし、ブランディングを重要視するアパレル業界では、「二次流通がプロパーのシェアを奪うのではないか」「二次流通に出回る商品は印象が良くない」という先入観がまだまだ強い。そんな現状に対して、「二次流通に出回るということは、それだけ商品価値があるということだ」という発想は画期的だと感じた。実際、二次流通市場最大の問題は“在庫不足”といわれており、二次流通に対するニーズがあることは間違いない。もし、二次流通の利益をアパレル業界に還元するようなサービスを作り、新品が売れても中古品が売れてもメーカーにきちんと収益が入るようになれば、アパレル業界の構造は大きく変わるかもしれない。
アパレルの二次流通において、もう一つの大きな悩みは「本物かどうか」だ。しかも、取り扱う商材が高価になればなるほど、ユーザーの不安は増す。そんな悩みに応えるように、コメ兵が鑑定機能付きのフリマアプリ「カンテ」をローンチした。これまで店頭で培ったノウハウを生かし、ユーザー同士の取り引きを仲介することで、安心して売買ができる環境を作る。コメ兵はメルカリのようにフリマ市場全体を網羅しようとは考えておらず、高価なブランドアイテムに的をしぼることで、付加価値を提供できるサービスを目指すという。市場の拡大にともなって、このように市場を限定したアプリも増えてきた。進化する二次流通市場とアパレル業界の融合を目指したサービスが出てくる日も近いかもしれない。