「それ、どこの?」。一般の方には分かりづらいかもしれませんが、およそファッションの世界で生きる者にとって、これって最上の褒め言葉なんです。細かく言うと「カワイイ」を連呼することのできないメンズの世界に限ったことかもしれません。アマノジャクしかいないメンズファッションの世界で、相手をストレートに褒めることは「負け」を意味します(笑)。「参った!だから、それをどこで買ったのか教えてくれ!」ってことです。
そんなゆがんだ世界にあって、「それ、どこの?」と言われるのがこのトートバッグです。東京ブランド「プライアブル(PLIABLE)」のアイテムで、インドネシア産のミズヘビが使われています。特に海外取材に行ったときなど、なかなかの勢いで「それ、どこの?」と聞かれます。
「プライアブル」の特徴は、約50色に染め分けられたレザーから自分の好きなものを選べること。僕はこれまで8年にわたりグリーン→イエロー→ターコイズ→ピンク→ライム→ホワイトと6回オーダー。サイドポケットにはティッシュと、いつ海外取材を命じられてもいいように透明プラスチック袋。内ポケットには名刺入れと予備の名刺、リップスティックや絆創膏が入った小ポーチにUSBと、何がどこに収納されるべきかが決まっています。もはや、このトートバッグに自分のライフスタイルを合わせてしまっている状況で……。それでいて値段も3万2800円と手頃なんです。
柄の大きさや発色のよさもとても僕好みなんですが、唯一の難点は革が薄く経年によって角などが摩耗して剥がれてしまうこと。まぁ、ほぼ365日使っているので(「WWDジャパン」のバッグ担当としては、いかがなものか?とも思うのですが……)仕方ないんですけどね。弁当箱に500mLの水筒、ノートPCにカメラ、大量の資料がすっぽり入りますし、1~2泊程度の出張ならこれに着替えも詰め込んで出かけてしまいます。
「プライアブル」を手掛けるディーオーツーオフィスの木内俊行・社長に相談して、4代目のバッグからは、真っ先に剥がれてしまうハンドル部分を、より強度のある羊革に変更(別注)しています(3万4800円)。実は、この冬のリブランディングでフロントの切り込みポケットがなくなってしまったんですが、僕はここに靴ベラを収納していたため、これまた別注ということで残してもらい、7代目をオーダーしたところです。納期は約2カ月。来年は戌年ですが、僕は巳(ヘビ)と一緒に新年を迎えられそうです!