コンビニ大手のミニストップが、2018年1月から全店舗で成人雑誌の販売を中止することが報じられた。各メディアの報道によると、店内に成人雑誌があると心理的に利用しづらいという女性消費者の声や、子どもに見せたくないという親の意見を受け入れての販売中止だという。
女性客の取り込みや2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、コンビニでの成人雑誌販売中止の動きは今後も拡大すると見られる。成人雑誌は店頭からネットへと販売の主戦場を移すだろう。
数年前から、コンビニによるネットを利用した雑誌や本の販売サービスの動きもある。セブン-イレブンは“街の本屋さん”と称して、自社の通販サイト「セブンネットショッピング」で注文した雑誌や本を、セブン-イレブン店舗で受け取ることができるサービスを提供している。24時間受け取り可能で、一定金額以上の購入で送料無料の他、一定期間の取り置きが可能で再配達の面倒もない。ローソン、ファミリーマートなども同様のサービスを実施しており、ポイントサービスなどで差別化を図っている。
コンビニの雑誌や本のコーナーに並ぶ商品は、書店同様に委託販売が適用されているので、コンビニは在庫リスクを抱えることはなかった。雑誌や本のコーナーの存在が一定の集客につながるとはいえ、顧客ニーズにマッチしない雑誌や本を店舗に並べることは、限られた売り場の最適化を目指すコンビニのあり方とは相いれない。コンビニの雑誌や本は、食料や飲料品などと共に購入される“ついで買い”を見込める商品だが、ネット注文サービスの普及や店頭のその他の商品の売り上げ次第では店頭配置に見直しの余地があるだろう。
顧客満足や売り場の最適化を突き詰めれば、在庫スペースを必要とせず顧客が求める商品を店頭で受け取れるコンビニのネットサービスに行き着くのではないだろうか。今回、ミニストップが販売中止を決めたのは成人雑誌で、単純に他の雑誌と比較できない要素を含んでいるが、 “顧客のニーズ”という点に絞るなら、コンビニの雑誌や本のコーナーが消える未来もあり得る。