アメリカでは「サンクスギビング」(11月の第4木曜日。今年は11月23日)翌日の「ブラックフライデー」のセールが一大イベントとなっている。
百貨店メイシーズ(MACY'S)のジェフ・ジェネット(Jeff Gennette)最高経営責任者(CEO)は、「サンクスギビング」と「ブラックフライデー」の両日共に売上高と来店客数が昨年を上回り、予想通りだとコメント。休業する店が多い「サンクスギビング」に店を開けたことも効果があったと分析した。「木曜日と金曜日の両日に店を開けることの効果が年々大きくなっている」。
11月に一気に気温が下がったことから、アウターやアクセサリーが好調に動いた。ジェネットCEOも「寒さは売り上げにつながる。コート、セーター、フリース、ブーツなどが好調に売れている」と話した。また、「フレグランスも好調で、中でも『シャネル(CHANEL)』『グッチ(GUCCI)』『ティファニー(TIFFANY)』など、最近フレグランスを発表したブランドが好調だった。Apple Watchなどのガジェット類もよく売れた」という。
1~2年前にはメジャーではなかった配送料無料やBOPIS(buy online, pickup in storeの略で、“オンラインで購入して店頭で受け取る”という意味)の普及で利便性が高まり、売り上げが伸びた小売企業もあった。
米小売りチェーン、ターゲット(TARGET)は「ブラックフライデー」のセールをECサイトで木曜の朝からスタートした。昨年以上にBOPIS向けの商品を増やした結果、木曜の夕方にはBOPIS利用数が前年同日の3倍に増えたという。
同社での売れ筋はiPadやApple Watch、「ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)」などの家庭用ゲーム機、7ドル(約777円)で販売した「ラバーメイド(RUBBERMAID)」の34個入り食品保存容器だった。また、巨大なテディーベアは1分間に600個売れて大ヒットだったという。
コンサルティング会社カスタマー グロウス パートナーズ(CUSTOMER GROWTH PARTNERS)のクレイグ・ジョンソン(Craig Johnson)社長はブラックフライデーについて、「売り上げはここ数年と比べると好調だが、「サンクスギビング」にウォルマート以外の店が全て閉まっていた頃と比べると勢いが落ちている。と来店客数もここ数年では最も好調だが、06年あたりのピーク時と比べると落ちている」と分析した。
投資会社コーエン(COWEN and CO.)のオリバー・チェン(Oliver Chen)=アナリストによると、モールではメイシーズや「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」「フォーエバー21(FOREVER 21)」「H&M」のショッパーを下げた消費者が多かったという。来店客数でいうと、「アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)」「ピンク(PINK)」「ギャップ(GAP)」などはレジ前に長蛇の列ができていた。また、「『バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)』や『マイケル・コース(MICHAEL KORS)』はと来店客数が少なかったようだ」とコメントした。加えて、「デジタル経由の売り上げが前年同期比15~20%増と好調なおかげで「ブラックフライデー」の週全体の売り上げは同4.5%増と予測している。また、リアル店舗のと来店客数は同4~6%減と予測し、引き続き減少すると予測している」と分析した。
近年では「ブラックフライデー」の翌週の月曜日を「サイバーマンデー」と呼び、オンラインでのセールが活発となっている。
大手スーパーマーケットチェーンのウォルマート(WALMART)は「サイバーマンデー」のセールを日曜の深夜0時からスタート。人気が高く、入手困難な商品を売り出し、「ブラックフライデー」の目玉商品を投入した。その中にはクォーターカラットのダイヤモンドやホワイトゴールドのイヤリング79.99ドル(約8878円)やメンズデニム8ドル~(約888円~)などがあった。
IT企業ピツニーボウズ(PITNEY BOWES)のリラ・スナイダー(Lila Snyder)=グローバルeコマース部門 エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、米国外からの購買が増えていると指摘。特にカナダ、メキシコ、オーストラリア、日本からの購買が増えていると話した。