セクシー女優を中心にタレント、アイドル、歌手、舞台役者などマルチに活躍する川上奈々美は11月30日、写真家の笠井爾示(かさい・ちかし)が4年にわたり密着したヌード写真集「となりの川上さん」(玄光社刊)を発売する。しなやかな肉体と繊細な息遣いにドキリとし、あどけない笑顔に癒され、涙でグシャグシャになった顔に胸が締め付けられる、そんな写真集だ。川上と笠井の2人に、4年にも及んだ撮る&撮られるの関係や、その結果完成した写真集の感想などを聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):4年にも及んだ「写真を撮り、撮られる」という関係のきっかけは?
笠井爾示(以下、笠井):スタイリストの友人のホームパーティーに呼ばれた時、たまたま会ったんです。僕はいつもカメラを持参して写真を撮っているので、自然と彼女の写真を撮り始めて。そうしたら写真集を手がけるプロデューサーから、「普通のグラビアとは違う写真集を作りたい」というオファーをもらって、「じゃあ、やりますか」って。でも、その計画は全然進まなくて(笑)、写真を撮って・撮られるという関係だけが続いたのがきっかけ。
川上奈々美(以下、川上):私は単純に撮られることが楽しかったんです。チカちゃん(笠井)は女性とのコミュニケーションが上手で、「安心・安全」。だから私からも連絡するようになって。
笠井:写真家として相手の懐に入る術は持ち合わせているつもりだけど、僕は、本当のプライベートには立ち入らないんですよ。フォトグラファーとしてのテクニックを、女性と出会うための手段と勘違いされるのがイヤなので。もちろん話しているうちに仲良くなって、仕事の相談を受けたり、愚痴を聞いたりすることはあるけれど。
川上:チカちゃんは優しいから全てを聞いてくれるけれど、「こうした方がいいよ」ってアドバイスをくれたりはしないんです。
笠井:だから写真集を見たら、「この2人は、付き合っているのかな?」って勘ぐる人もいると思うけど、実は全然特別な関係じゃない。友達みたいなカンジで、会えば写真を撮ってきたけれど、ず〜っと会っていたワケじゃない。頻繁に会う時期もあれば、なんとなく会わない時期もあった。よく会っていたのは、2015年とかかな?ちょうどCDデビューや映画出演、ストリップへの挑戦など活動の幅を広げた頃だと思うんだけど、あの時はすごく自信に溢れていた時と、全然ダメな時の落差が激しかった(笑)。急に体調を崩して、なぜか俺が病院に連れて行ったこともあったよね?
川上:女の子は、みんな気持ちが揺れるんです(笑)。15年は本当に忙しくて、仕事を辞めようと何度も思った時。
笠井:そんな15年の彼女を撮り続けて、「これは、ちゃんと作品にしたいな」って思ったんですよ。
「グラマラスじゃない私は、すべてをさらけ出すしかない」
WWD:4年に及んだ不思議な関係を踏まえ、2人は、お互いをどんな人物だって思っている?
笠井:う〜ん、難しいですね。彼女は「普通にカワイイ女の子」とはちょっと違うし、正直、出会う前はよく知らなかったんです。でも写真集の発売が決まって、今年何度か会って写真を撮った時、いろんな意味ですごく進化していることに驚いた。他の人からは出てこない表情とかを見せてくれて。ストリップ劇場のロック座の舞台に立ち始めた時は「ストリッパーっぽくないなぁ」と思っていたけれど、今は「艶めかしさ」を見せる時があって。
川上:成長した実感は正直あまりないけれど、この4年は振り返る時間がないくらい忙しかった。出来上がった写真集を見て、「チカちゃんは、大変な時もキレイに撮ってくれたんだ」って感謝しています。スゴいところまでさらけ出したり、悩み抜いて泣いていたりの瞬間もあるけれど、写真集としてまとまっていて。
WWD:ヘアヌードはもちろんですが、すっぴんのニキビ面まで、“さらけ出している”感じは強いです。
笠井:正直ありのまま写真は、全員に肯定されると思ってないんですよ。多分、彼女に夢を抱いている人の中には、ショックを受ける人もいると思う。でも、今回は唯一の主役である彼女に敬意を表するためにも、レタッチはほとんどせず、ありのままを収めました。
川上:私のやり方がベストかどうかわからないけれど、決してグラマラスとは言えない私がここまでやってこれたのは、包み隠さず、ありのままを表現してきたから。そんな私を「暑苦しい」と思う人もいるかもしれないけれど、逆に応援してくれる人もいるんです。特に19、20くらいの女の子は、「私もムリしちゃうことがあるから、気をつけて」って親身になってくれるんです。浅草ロック座の公演では、20日の期間中18回も応援に来てくれた女の子がいました。彼女の手紙には毎回感動しています。
タイトルの生みの親は、名物TVの名プロデューサー
WWD:タイトルの「となりの川上さん」はどこから?
笠井:僕は写真集のタイトルを自分でつけたことがないんですよ。全部自分でやることが、必ずしも良いとは思ってない。だから写真集に掲載する写真も、1000枚くらいまでは自分で絞り込んで時系列に並び替えたけれど、そこからはアート・ディレクターに任せました。写真には、必ず誰かの視点が入った方がいい。だから名前も誰かに委ねようと思って、出版社が幾つか候補を出してくれたんだけど、それがどれもつまんなくて。
川上:なんか変な漢字2文字とかあった気がする(笑)。
笠井:「隠匿」とかね。で、4年をドキュメンタリーのように追いかけたシリアスな写真集なので、「タイトルは自分で考えろ」って連絡したんです。
川上:でイロイロ送ったら全部ダメ出しされて、スゴく傷ついて……。
笠井:どれも全然ダメだったんだけど、最初のLINEで送ってきた「となりの川上さん」だけは、なぜか気になったんですよ。
川上:これは、恵比寿マスカッツのメンバーとして出演していた「マスカットナイト(テレビ東京系、現在は放送終了)」でプロデューサーのマッコイ斎藤さんにつけていただいた、私のキャッチコピーなんです。このコピーをもらった時、スゴく嬉しかったのを覚えていたので、許可を取って使わせていただくことになりました(笑)。
川上奈々美:1992年、10月14日生まれ。2012年1月にAVデビュー。15年5月、浅草ロック座でストリップデビューを果たす。愛称は「みぃなな」。数々のテレビ番組に出演するほか歌手活動にも取り組むなど、マルチに活躍する現役AV女優
笠井爾示:(かさい・ちかし)1970年生まれ。10代をドイツで過ごし、88年に帰国。96年、初の個展を開催。12月9日からは渋谷ヒカリエで5月に出版した写真集「東京の恋人」(玄光社刊)の写真展を21日まで開催。また15日からはブックマークで写真展「Flowers」を開催する。こちらは24日まで