フランスの靴ブランド「ロベール クレジュリー(ROBERT CLERGERIE)」はリブランディングに着手した。今年に入りビジネスとクリエイティブのトップを刷新。4月には「ブルガリ(BVLGARI)」「プラダ(PRADA)」「グッチ(GUCCI)」でブランド・マネジメントやインターナショナル・ディベロップメントなどを担当してきたペリー・オースティング(Perry Oosting)新CEOが就任。5月には「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「クロエ(CHLOE)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」などで25年にわたりシューズを手掛けてきたダヴィッド・トゥルニエール・ボーシエル(David Tourniaire-Beauciel)=クリエイティブ・ディレクターが就任。2018年春夏からブランド名を「クレジュリー(CLERGERIE)」に改称した。ボーシエルの初出社は5月24日だったというが、6月5日には一部手掛けたシューズを引っ提げニューヨークでプレ・コレクションを発表。卸の売り上げは前年比1ケタ増とまずまずの滑り出しだった。18-19年秋冬には完全にボーシエルのディレクションになり、メンズラインもスタートする。
就任前から、ブランド名の改称や新クリエイティブ・ディレクター起用の話は進んでいたというが、オースティングCEOの着任直後からの動きが慌ただしい。9月にはパリ・サントノレ通りに旗艦店を開き、年末にはニューヨーク・マディソン・アベニューにも旗艦店を開く。
「『クレジュリー』とは何かを突き詰めて答えが出た。アーカイブは今見てもモダンだ。伝統を重んじトレンドを追い求め過ぎない普遍性、スティレットヒールでなくとも女性らしいシューズであること、素材でいえばラフィアなどが挙げられる。ブランドの持つステートメントが明確だ。これらを取り入れながら、より分かりやすい形でモダンに提案する。例えば、三つ星レストランのように。メニューは多くなく、抽出し編成しており、われわれも選び抜いて提案する。そして、職人たちの人柄をシューズに反映しているかも大事にしたい。価格を変えず、ブランドバリューを高める。クオリティーを重視し、ダヴィッド(クリエイティブ・ディレクター)の革新的なモノ作りも反映していく」とオースティングCEO。
18年春夏は「クレジュリー」らしさがありながらも時代性を映したモダンなシューズが並んだ。「20年までに売り上げを倍にする」。現在、直営店が20店舗、卸先が250店舗程度。「今あるチャネルを生かし、シンプルな戦略にフォーカスする。直営店は改装し、卸先は既存店を強化する」。18年3月にはeコマースを欧米からローンチする。
「ロベール クレジュリー」は1981年に設立。2012年から、ファースト・ヘリテージ・ブランズの傘下に入っている。