東レは28日、子会社の東レハイブリッドコード(愛知県)がタイヤの繊維補強材の検査データを改ざんしていたと発表した。同日には都内で東レの日覚昭廣・社長が会見を開き、謝罪した。会見では、同社が昨年7月に社内調査で把握していたものの、公表まで時間が1年以上経っていたことについて質問が集中した。日覚社長は「書き換えたデータ自体は僅差で性能及び製品安全上の問題はなく、企業間の取り決めのことなので発表するつもりなかった。11月3日にネット上に書き込みがあり、間違った情報が広まるのを防ぐために公表した」という。
東レハイブリッドコードはタイヤコードを製造販売する子会社で、2008年4月~16年7月の間、自動車用タイヤやホース、ベルトなどの補強材など149件について、品質データを書き換え、タイヤメーカーなど約13社に供給していた。東レは昨年7月に社内のコンプライアンスアンケートで、1件のデータ書き換えを把握。その後、約4万件のデータを調査した結果、149件の書き換えが発覚したという。その後、1年を掛けてグループ全体で調査を行ったものの、これまでのところ法令違反や製品安全上の問題は把握していないという。「最終的な結論はまだこれからだが、現時点でもファーストリテイリング社やボーイング社に供給する製品について問題はない。これまでも企業倫理と公正を経営の最優先課題に掲げていたが、このような事態を招き、ステークホルダーに迷惑をかけてしまったのは、あってはならないことだ」と語った。
多くのマスコミが駆けつけ、2時間半以上に渡った会見の最後には、日覚社長は2分近くにわたり、頭を下げ、関係者への謝意を表明した。