PVHコープ(PVH CORP)傘下のカルバン・クライン・インク(CALVIN KLEIN INC.)は、アンディ・ウォーホル美術財団(THE ANDY WARHOL FOUNDATION FOR THE VISUAL ARTS INC.)と長期パートナーシップを2020年まで締結し、アンディ・ウォーホル美術財団に出資する。出資金はコンテンポラリー・ビジュアルアーツの創作や展示、保存をサポートする寄付金に充てられる。その一方でアンディ・ウォーホル美術財団は、未発表のものも含む晩年のアンディ・ウォーホルの作品へのアクセス権をカルバン・クラインに与える。20年以降はカルバン・クラインのブランドポートフォリオを活性化するようなライセンスプロジェクトに発展させる。
アートへの造詣が深いことで知られるラフ・シモンズ(Raf Simons)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーは、「ウォーホルの才能はキャッチーなキャンベルのスープ缶だけでなく、それよりもずっと奥深いものだと気づいたんだ。ウォーホルはアメリカの全ての面を捉えている。そのダークサイドもね。ウォーホルのアートは何よりも正確にアメリカの真実を教えてくれるんだ」と語った。
マイケル・デイトン・ハーマン(Michael Dayton Hermann)=アンディ・ウォーホル美術財団ライセンスディレクターは、「ウォーホルの遺産は、時代を超越するその巨大な影響力にとどまらない。彼が遺した財団は設立以来2億7500万ドル(約300億円)以上の寄付金でコンテンポラリーアート界を支えてきた。ラフはカルバン・クラインでウォーホルの全ての面を活用し、財団の寄付金に貢献するだろう」と話した。
ラフがカルバン・クラインで初めてウォーホルの作品を取り入れたのは、「アメリカン・クラシック」と題した2017年春夏のアンダーウエアとデニムのキャンペーンビジュアルで、ブランドのアイコニックなアンダーウエアやデニムをアメリカのポップカルチャーのひとつと捉え、ウォーホルの他、ダン・フレイヴィン(Dan Flavin)、リチャード・プリンス(Richard Prince)、スターリング・ルビー(Sterling Ruby)のアート作品の前で「カルバン・クライン」のアンダーウエアやデニムを着用したモデルを撮り下ろした。
さらに、映画、特に夢の源泉ともいえるハリウッドにインスピレーションを得て、アメリカン・ドリームとともにアメリカン・ナイトメア、つまり悪夢にも関心を向け、人生のダークサイドを表現したという2018年春夏コレクションは、ウォーホルの「Death and Disaster」シリーズの中から、ウォーホルの友人でアートコレクターのサンドラ・ブラント(Sandra Brant)と俳優のデニス・ホッパー(Dennis Hopper)のポートレートや、「Knives」「Electric Chair」「Ambulance Disaster」などのアート作品をスクリーンプリントしたアイテムを披露した。
ウォーホルはファッション業界との関わりが深く、1970年代には、ニューヨークの伝説的ディスコ、スタジオ54に集まったカルバン・クライン自身を含むニューヨークのデザイナーたちと多くの仕事をしてきた。