「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」は11月28日、東京・青山で2018-19年秋冬のプレゼンテーションを行った。モデルは「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」や「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」など、8つの日本ブランドが「ビルケンシュトック」のためにデザインしたアウターを身にまとった。
イベントに合わせ来日したオリヴァー・ライヒェルト(Oliver Reichert)=ビルケンシュトックグループ最高経営責任者(CEO)は「日本は、高品質・高機能がモットーの『ビルケンシュトック』をファッションアイコンに昇華してくれた」とコメント。一方で「サンダル以外の、つま先のあるシューズやバッグ、靴下、ベルトなどの認知度は低い。サンダルにおいても、今後はキッズ用、医師やシェフらプロフェッショナル向けの商材も打ち出したい」と語った。
ビルケンシュトックグループは、16年5月に本国100%出資によるビルケンシュトック・ジャパンを設立。17年3月に青山のAOビル内にオフィス兼ショールームを開設した。
「ビルケンシュトック」はベッドをはじめとする寝具、コスメの発売も発表、もしくは海外ではすでに販売している。日本での導入時期については「コスメは18年度内を目指し、寝具については未定」と回答。「今後も“ウェルビーイング(『健康であること』の意味)”をテーマに、オフィス用家具、子ども用の学習机などを商品化したい」とした。
ライヒェルトCEOは、240年以上にわたるビルケンシュトックの長い歴史の中で創業ファミリー以外から選ばれた初めての経営トップ。1971年ドイツ生まれで、アメリカンフットボールのプロ選手として活躍し、テレビ記者を経てテレビ局のマネジメントディレクターを務めた異色の経歴を持つ。現状維持に満足せず、さらなる発展を目指す創業一族のクリスチャン・ビルケンシュトック(Chirstian Birkenstock)の招きにより、2010年ビルケンシュトックグループに参加。チーフアドバイザーを経て、13年から現職を務める。
4年間の功績について尋ねると「10年当時、ビルケンシュトックグループは38もの会社からなる“帝国”だった。乱立していたサブブランドも含め、整理することから着手した。グローバルの観点では、国や地域ごとに正しいディストリビューションを行うべく見直しを行った」と、「再編集」が奏功したと分析。「この作業は庭木の剪定に似ている。ストップしてはいけない。今も膨大な商品群の精査を行っているところだ」という。イノベーションについてもライヒェルトCEOの果たす役割は大きく、日本でもヒットした合成樹脂製の手頃なサンダルも彼の下で開発された。
ライヒェルトCEOがマルクス・ベンスベルク(Markus Bensberg)共同CEOと共にビルケンシュトックグループの指揮をとるようになった13年当時、800万~900万足だった年間販売数は現在約3倍の2500万足になっている。同社はドイツ国内に5カ所の自社工場を持ち、3200人が働いている。サンダルは100%ドイツ生産を貫いている。
同社は現在、日本国内において2つの販売代理店と契約している。ベネクシー(BENEXY)は全国に64ある店舗を運営。シードコーポレーション(SEED CORPORATION)はセレクトショップや百貨店、シューズ専門店への卸を行っている。ライヒェルトCEOは「今後も2社とは共存する」としたうえで、「ビルケンシュトック・ジャパンは18年春夏から直接販売も行う」とコメント。今年6月からはジャパン社による公式オンラインストアもスタートしている。ただし「ベネクシーとは35年以上、シードコーポレーションとも25年以上のパートナーシップがある。日本市場を熟知した彼らの力は、これからも必要だ。ビルケンシュトック・ジャパンはサンダル以外のジャンルを積極的にアピールするつもりだが、そのカテゴリーにおいても両社の助けが必要になるはずだ。相乗効果で2年以内の売り上げ倍増を目指す」とした。