毎日新聞社は29日、第35回「毎日ファッション大賞」の授賞式を東京・恵比寿のEBiS303で開催した。今年の大賞は「ハイク(HYKE)」の吉原秀明・大出由紀子。2人は賞状とトロフィーを受け取り、それぞれの思いを語った。吉原は「前身の『グリーン(GREEN)』からデザイナー活動を続け今年で20周年を迎えた。約4年間を休止するなど自由な歩みだったが、自分たちなりに信念を持って真摯に取り組んだ結果が、今回受賞につながったと感じる。また、これまで続けてきたことが間違っていなかったと、この賞に背中を押してもらった」と話した。また、授賞式後に大出は「これまでの20年間を思い出し、これまで一緒に働いてきたチームの皆の顔が浮かんできて感極まってしまった。これまで数え切れないほど、『毎日ファッション大賞』にノミネートをされたが賞自体は獲ることはできず、このまま一生獲ることができないものだと思っていた(笑)。今回もノミネートされたときは『またか』と思ったが、(結果を受けて)『やっぱり獲れるものだったのか』と驚いた」と微笑んだ。
新人賞・資生堂奨励賞を受賞した「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」の中里唯馬は、賞状とトロフィーの他、賞金100万円を受け取った。授賞式では7月にパリで発表した2017-18年秋冬のオートクチュール・コレクションのショーを披露。登場したのは最新技術「3Dユニット構造テキスタイル」を用いて、着用する人の身体にフィットさせる革新的なウエアだ。コットンやウール、レザー、デニムなどをデジタルパターンで長方形にカットし、パーツを組み合わせることで、シルエットや素材を着る人の好みに組み変えることができるという。モニターで服作りの工程やデジタルパターンを映しながら、レザーのライダースジャケットやデニムジャケット、立体的なボリュームのあるフレアドレスなどをまとったモデルが現れ、会場を驚かせた。中里は「ファッションの未来はオートクチュールにあると、2016年からパリで発表するため、猛進してきた。これまで衣装デザインを続けてきて、一人一人それぞれのためにデザインをすることが、着る人を心から豊かすることができると知った。この体験を多くの人に届けたいと考え、一人一人のための服を広げ、やがて衣服は“1点モノしか存在しなくなる”というのが、人類の未来の姿だと思っている。来年1月にはさらに進化を遂げたコレクションを発表する。よりレディ・トゥ・ウエア(既製服)に近い形で、一人一人に異なる服を届けられるマスカスタマイゼーションをファッションで実現させる」と思いを語った。
第35回「毎日ファッション大賞」の受賞者は以下の通り。
大賞:吉原秀明・大出由紀子 / 「ハイク」デザイナー
新人賞・資生堂奨励賞:中里唯馬 / 「ユイマ ナカザト」デザイナー
鯨岡阿美子賞:高橋靖子 / スタイリスト
話題賞:アシックス
話題賞:ギンザ シックス
特別賞:島正博 / 島精機製作所会長