日本の伝統文化に刺激を受けた世界的アーティストらが着物を新しく解釈した「キモノロボット(KIMONO ROBOTO)」展が12月1~10日まで表参道ヒルズ本館・スペースオー(渋谷区神宮前4-12-10)で開催される。
会場には2年の歳月をかけて復元された重要文化財の束熨斗文様(たばねのしもんよう)振袖を含む、国宝級の着物13点を展示。同振袖は、会場の音楽を担当したアーティストのビョーク(Bjork)が最新アルバム「UTOPIA」に収録されている同名の曲のミュージックビデオ内で着用している。また、会場ではその振袖をロボットが着用し、伝統とテクノロジーの融合を表現している。1000以上のファッションショーをプロデュースしてきたアレクサンドル・ドゥ・ベタック(Alexandre de Betak)が会場演出を手掛けた他、有名カメラマンのピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)や土井浩一郎らが独自の解釈で着物を撮影した作品が、会場の壁一面に映し出される。
ドゥ・ベタックは伝統的な着物とテクノロジーを象徴するロボットの組み合わせについて「いろいろな意味で矛盾やコントラストを出したかった。伝統的な着物の反対を考えた時に未来的なものが見えた。だから未来を意識して空間作りを行った」と説明。
また、着物の足もとにブーツを合わせて撮影を行ったリンドバーグも「着物に対して“ディスリスペクト(大切に扱わない)”する姿勢で臨んだ。これは着物や伝統を軽視しているわけではなく、“リスペクト(神聖化)”してしまうと触ることもままならず、現在の姿を壊すことができないからだ。だからあえて“ディスリスペクト”することで新しい着物の姿を提案できた。“ディスリスペクト”と“リスペクト”は共存するんだ」と語った。
会期に先駆けて11月30日にはオープニングレセプションが開催され、同展の主催者メルコリゾーツ&エンターテインメント(MELCO RESORTS & ENTERTAINMENT)のローレンス・ホー会長兼最高経営責任者(CEO)やモデルのケイト・モス(Kate Moss)、森星、中村獅童らが来場。同展開幕のカウントダウンを行った。
「モノトーンの着物に紫の帯を差し色にしてパンクっぽくしてみた」という森星はアーティスト・高橋理子がデザインした着物を着用して登場。「着物の伝統的な作り方や職人の技に触れるチャンスが少なくなっている若い世代に、この『キモノロボット』展をきっかけに着物の素晴らしい奥深さを知ってもらえたら」と語った。
また、普段から着物を着る機会が多い中村獅童は、「着物というのはすごくおしゃれなもの。若い人たちにはこれを機に着物を着てもらって、着物に触れたことがない人から着物好きまで、たくさんの人に会場に来てほしい」とコメント。同展が着物とロボットの競演であることから、ロボットと歌舞伎のコラボレーションについて問われると、「最近は新しいスタイルの演目がたくさん出てきているので、ロボットと歌舞伎の組み合せも十分あり得ると思う」と歌舞伎の新たな可能性についても語った。