米国のデニム生地大手、コーンデニム(CONE DENIM、旧コーンミルズ)は、唯一の米国工場であるホワイトオーク(WHITE OAK)工場を12月31日付で閉鎖する。同社はすでに生産の大半をメキシコと中国で行っていたが、ノースカロライナ州グリーンズボロにある1905年設立のホワイトオーク工場は、“リーバイス(LEVI'S)501XX”に代表される米国製デニムの象徴的な存在だった。VFコープ傘下の「ラングラー(WRANGLER)」でジーンズウエア・デザインマネジャーを務めるスコット・トラッカー(Scott Trucker)は、「ホワイトオークのデニムを使ってアメリカ製デニムのカプセルコレクションを作り、われわれはホワイトオークの歴史ある製品を深く愛してきた。つい先月も同工場を訪れ、シャトル織機が木製の床を揺らしながらデニムを織るさまにインスピレーションを受けたばかりだ」と語った。
コーンデニムは年間の生産能力1億1760万mで、規模では世界4位。生産の大半をメキシコと中国で行っている。ホワイトオーク工場は、1940年のセルビッジデニムを復刻したビンテージライン“アメリカンドレイパー X3(American Draper X3)”など、シャトル織機によるセルビッジデニム生産に特化していた。親会社のインターナショナル・テキスタイル・グループ(INTERNATIONAL TEXTILE GROUP)とコーンデニム、双方の会社の社長兼最高経営責任者であるケネス・クンベルガー(Kenneth Kunberger)は「ホワイトオークは、125年にわたりアメリカの伝統的なデニムを体現してきたコーンデニムの象徴的な存在だった。閉鎖は苦渋の選択だ」と語った。セルビッジデニムに関しては、日本のカイハラに加えインドのデニム大手アルヴィンド(ARVIND)も参入するなど、競争が激しくなっていた。
また、ホワイトオーク工場の閉鎖は、この数年で大きく変化したジーンズトレンドの象徴とも言える。ジーンズの主流は、「リーバイス」に象徴されるオーセンティックな製品よりも、「ザラ(ZARA)」「H&M」などのファストファッションブランドが得意とするストレッチや合繊を使った着心地のよい製品へと変化している。