ケリング(KERING)がアイウエアの生産地を詐称しているとしてアイウエア小売りのセリマ オプティーク(SELIMA OPTIQUE以下、セリマ)がクラスアクション(集団訴訟)を起こした事案について、両者が法定外での話し合いに応じたため、ニューヨーク連邦裁判所は同事案を棄却した。
ケリングのスポークスウーマンは裁判所が棄却したことについては認めたが、それ以外のコメントは得られなかった。また、セリマ側からもコメントは得られていない。
本件はセリマが受領した「サンローラン(SAINT LAURENT)」のアイウエアのフレームに“Made in Italy”と“Made in China”の印字があったことに端を発する。セリマがケリングに問い合わせたところ、ケリングは生産工程のミスで、中国産と印字されたパーツは、実際に中国で生産されている「プーマ(PUMA)」のサングラスに使用されるはずのものだったと説明したが、セリマはこれに納得せず、どの製品が実際にイタリアで生産されているのかを訴訟で明らかにすべく、クラスアクションを起こした。
セリマはケリングが「サングラスに使用されるあらゆるパーツを中国で製造しており、大きく見積もっても、それらを組み立てているのがイタリアだというだけであるにもかかわらず、悪意を持って生産地をイタリアと印字した」と主張し、6月にクラスアクションを申し立てた。
これに対してケリングは悪意があったことを即座に否定。法廷でも「原告団(セリマを含む集団)には一部の例外を除き、今回問題となっているアイウエアを含む全てのラグジュアリーアイウエア製品はイタリア、フランスまたは日本で製造していることを説明している」と主張した。
また、印字に問題があったアイウエアは21点確認されており、セリマ以外の卸売り企業にも納品されていたが、ケリングは無償交換を申し出ているという。「被告(ケリング)と取り引きのある他の卸先はすぐに事情を理解し、交換に応じてくれた。一方で原告(セリマ)は損害賠償を要求し、クラスアクションを起こし、記者会見を開くと脅してきた」とケリングは述べた。
本件は訴訟の早いタイミングで法定外の決着に移行したため、和解条項などは特に設けられていない。