グラフィックやプロダクトのデザインなどを行う企業、スタンド(Stand)がシャツ専門ブランド「シャツ バイ スタンド(SHIRTS BY STAND)」を11月13日にスタートした。1着1着手刷りでグラフィックをプリントしたシャツをオンラインストアで販売している。商品を「洋服というよりもアート作品」と語るデザイナー2人の服作りに迫る。
「シャツ バイ スタンド」を手掛ける高橋亮スタンドCEO(左)と井田岬スタンド取締役
WWDジャパン(以下、WWD):グラフィックデザインが主な業務だと思うが、なぜシャツブランドを始めたのか?
高橋亮スタンドCEO(以下、高橋):以前タイポグラフィーをシルクスクリーンで印刷したTシャツを販売したことがあったのですが、かなり反響が良かったんです。それで服にプリントをするのが楽しくなって。
井田岬スタンド取締役(以下、井田):当たり前ですが、通常の仕事はクライアントの意向もしっかりと汲み取らないといけない。だから、自分たちの思い通りにはいかないこともあります。そういった中で私たちのデザインを自由に表現するために服作りをやってみてもいいかな、と思ったのも理由の1つかもしれません。
WWD:どうやって服作りを学んだ?
高橋:スタイリストの方が知り合いにいるんですが、その方に「ツカサミカミ(TSUKASA MIKAMI)」というブランドの三上司デザイナーを紹介してもらったんです。それで三上さんにいろいろとお話を伺いました。
井田:三上さんはグラフィックデザイナーをやりつつ、ファッションブランドも手掛けている方で、そういった意味でも私たちのやりたいことと近く、服作りのことを勉強させていただきました。
WWD:服はどうやって作っている?
高橋:まずグラフィックを手で描く。バラバラのパーツとして布がオフィスに届いて、そこに手刷りでグラフィックをプリントします。そうしてプリントした布を工場に送って、組み立てられる、といった流れですね。
井田:全部手刷りなのでかなりの時間がかかりますが、洋服、というよりは一つのアート作品のように思っています。みんなが日々身に着けるものにアート性を持たせる、というのがコンセプトです。
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プリントするシャツへのこだわり
WWD:シャツにプリントしようと思った理由は?
高橋:スエットとか、パーカ、バッグにプリントを施す人は結構多い気がしたので、あえてシャツにしました。他の人がやっていないことをしたかったので。
井田:カチッとしたシャツにちょっと落書きっぽい線がある方が面白いですよね。
WWD:プリントするシャツ自体にもこだわりはある?
高橋:グラフィックを引き立たせるためにできるだけミニマルなデザインにしています。
井田:具体的には、シャツの裾をラウンドではなく直線的にしたり、襟も小さいものにしたり。あとは脇の縫い目もなくして、プリントを全身にできるような作りにしています。
WWD:グラフィックに込めた思いなどはある?
井田:単純に自分たちが描いていて気持ちのいい線や図形をグラフィックにしています。グラフィックは2人で描いて、お互いに書いたものに手を加えたりとかもしています。
高橋:2人で作ると偶発的なものが生まれたりして面白いです。完成形がないのでどこで終わらせるのかが難しいですけど(笑)。
WWD:ブランドとして今後どうしていきたい?
高橋:今は白シャツだけですが、今後は黒色のシャツも展開していきたいです。お客さんの希望に基づいたグラフィックや、線以外のグラフィックも作りたいですね。やりたいことは山ほどあります(笑)。あとはリアル店舗への進出。現在、事前予約制でオフィスをショールーム として開放していますが、やっぱり手に取って見てもらった方が分かりやすいな、と感じています。
井田:直近では吉祥寺のコンテンポラリークリエイション(COMTEMPORARY CREATION+)というセレクトショップで来年ポップアップストアをオープンすることが決まっています。作品、という感覚が強いので、今後はデザインショップとかにも置いてもらえるようになれればいいな、と思っています。