野村ホールディングス傘下の調査会社、インスティネット(INSTINET)のシメオン・シーゲル(Simeon Siegel)によれば、アマゾン(AMAZON)のアパレル部門の売上高は2020年までに最高で850億ドル(約9兆5200億円)に到達する勢いだという。
アマゾンは商品カテゴリー別の売上高を明らかにしていないが、シーゲルは競合のウォルマート(WALMART)やアマゾンに出店しているブランドのデータから、アパレルの売上高が全売上高の10〜20%を占めると概算。16年のアマゾンのアパレル売上高は世界で180億〜360億ドル(約2兆〜4兆円)と見積もった。参考までだが、ウォルマートとメイシーズ(MACY’S)のアパレル売上高はそれぞれ250億ドル(約2兆8000億円)と220億ドル(約2兆4600億円)とされている。
アマゾンは近年「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「ナイキ(NIKE)」、女優のドリュー・バリモア(Drew Barrymore)と提携するなど、アパレル分野に力を入れており、間違いなく売上高を伸ばしている。アマゾンの17年の売上高は1766億ドル(約19兆7870億円)、18年は2248億ドル(約25兆1820億円)と予想しており、シーゲルはこのままアマゾンが成長していけば、20年までにアパレルの売上高は450億〜850億ドル(約5兆〜9兆5200億円)になるという。
この数字は楽観的すぎるのではないかと聞けば「非常に現実的な数字」だとシーゲル。「食品やヘルスケア、配達業など、どんな分野の小売業者やブランドであれ、アマゾンが議題に上がらないような企業に未来はない」と語る。また、アマゾンは初めて時価総額1兆ドル(約112兆円)を超える企業になる可能性もあるとしているが、その点についても「ただ聞こえがよいからというわけではない」と確言した。
16年2月に登場したアマゾンプライム会員限定のウィメンズのプライベートブランド「ラーク&ロー(LARK & RO)」も、前期比90%増で成長中だ。日本には未上陸だが、同ブランドの売上高は年間1000万ドル(約11億円)に到達する勢いだという。「プライベートブランドを成長させることは、より高い利益率のカテゴリーを成長させたいというアマゾンの要望とマッチしている」とシーゲルは語った。