三越伊勢丹は、2018年冬のクリアランスセールを1月4日に開始する。17年に比べて約1週間前倒しする。同社はセールの早期化に歯止めをかけるため、12年夏のセールから当時の大西洋・社長の強いリーダーシップのもと、セール開始日を約1~2週間後ろ倒しにしてきた。だが冬に関しては「早く春物を見たいとおっしゃるお客さまが増えていた」(同社広報)ため変更を決めた。ただ「プロパー(正価)販売を強化していく方針自体は変わらない」としている。セールを約2週間で切り上げて春物を早めに投入する。
首都圏に店舗を持つ三越伊勢丹の初売りは3日。その翌日からセールを始める。同社の方針変更によって、大手百貨店のセール開始日はそごう・西武が1日、高島屋と大丸松坂屋百貨店が2日とほぼ横並びになる。
百貨店や商業施設のセールを巡っては販売不振を背景に2000年以降、セール開始日が徐々に前倒しされる傾向にあった。衣料品をプロパーで売る期間が短くなり、セール期間が長くなるにつれ、消費者のプロパー価格に対する不信感が生まれる悪循環にも陥っていった。三越伊勢丹はルミネと共にこの問題に一石を投じ、取引先のアパレル企業にも呼び掛けて、セール開始日の後ろ倒しに取り組んできた。
だが、夏のセールの後ろ倒しは残暑傾向が続き、夏物の販売期間が長期化する実情に合っているのに対し、冬のセールは春物の立ち上がりが遅くなるデメリットが目立つようなっていたという。ルミネも17年の冬のセールを1月3日に前倒ししている。