TSIホールディングス傘下のサンエー・インターナショナルは、2017-18年秋冬で「ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE VON FURSTENBERG)以下、ダイアン」の事業を終了し、18年春までに7つの全店舗をクローズする。卸については、グループ会社のユニット&ゲストが18年春夏までは継続する。
また、創業デザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグは、自身の会社の株式を売却する意向のようだ。株式の一部か、それともすべてかは未定だが、同時に不採算店舗の閉鎖にも踏み切る。ウワサに対してダイアンは、「ビジネスを手放すつもりはないが、会社にふさわしいマネージメントチームを設けるべき時。そのために、株式を売却することにしたの」と話している。
彼女は、ニューヨークとパリを拠点とするM&Aが得意な独立系銀行ミシェル ディアンス & コーポレーション(MICHEL DYENS & CO.以下、ミシェル)を雇い、株式売却を進める計画。ミシェルは1985年前、ダイアンが自身のコスメ企業をイギリスの製薬大手ビーチャム・グループ(BEECHAM GROUP)に売却した際も、アドバイザーを務めた。
「ダイアン」は近年、百貨店を中心に苦戦。アメリカではブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE’S)などから、日本では西武百貨店池袋本店や西武渋谷店などから撤退していた。2016年11月には最高経営責任者のパオロ・リーヴァ(Paolo Riva)が辞任し、以来経営はトップの座が不在のままだ。直近の売り上げについてダイアンは明言を避けたがマーケットには困難が多いことを認めた上で、「ブランドには価値がある。家族だけで守るべきものではないくらい、大きな価値」と話している。
ダイアンは7日、米マサチューセッツ州で1万2000人の女性が参加した会議に登壇し、「私の次のステージのゴールは、女性問題に向き合うこと」と話していた。株式を売却するためにミシェルを雇った件については、「知識のある投資家を探すことで、激変するデジタル時代を生き抜き、新たな伝説を作るためよ」としていた。
「ダイアン」は現在、アメリカに20以上の店舗を有する他、中国を筆頭に中東やロンドン、パリなどに120程度のショップを有している。店舗閉鎖についてダイアンは、「閉店はどんなブランドにもつきもの」とコメント。マンハッタンのミートパッキング地区に構える旗艦店については閉店せず、上層に構える本社も現状を維持するようだ。
ブランドは現在、ジョナサン・サンダース(Jonathan Saunders)がチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めている。