香港出身の大富豪、エイドリアン・チェン(Adrian Cheng)は自身が立ち上げた投資会社K11インベストメント(K11 INVESTMENT)とCベンチャーズ(C VENTURES)を通じてEC企業モーダ・オペランディ(MODA OPERANDI)の過半数株式を取得した。ミレニアル世代とジェネレーションZに強いデジタルライフスタイルブランドやデジタルプラットフォームの買収を目指す同氏の戦略の一環だ。
「ファッション産業は長い間大きな変化がない状態が続いている。一方でeコマース分野では、洗練されたミレニアルズの将来的なニーズに応えるための斬新なビジネスモデルが続々と登場している。モーダ・オペランディは明らかにその中の一つであり、Cベンチャーズが構築を目指すグローバルなエコシステムの構想にぴったりだ」とコメントした。Cベンチャーズが構築するエコシステムの一部となることでモーダ・オペランディはアジアや中国のラグジュアリー市場に参入する機会を得る。
同氏はモーダ・オペランディのデジタルトランクショーを中心としたサイト構成や、シーズン中のセールを実施するビジネスモデルについて「ユニークで最先端だ」と評価している。
取得率や取得額などの詳細は明らかとなっておらず、スポークスマンからのコメントも得られなかったが、同氏はモーダ・オペランディの役員となり、実際に経営に携わることは認めた。
チェンはK11インベストメントとCベンチャーズの経営の他に、父親のヘンリー・チェン(鄭志亮)が会長を務める香港のコングロマリット、ニュー ワールド ディベロップメント(NEW WORLD DEVELOPMENT/新世界発展)とジュエリーグループ周大福(CHOU TAI FOOK)のエグゼクティブ・ディレクターも務める。ニュー ワールド ディベロップメントは、ニューヨーク・マンハッタンにあるザ カーライルホテル(THE CARLYLE HOTEL)なども運営するローズウッド ホテル グループなどを擁するコングロマリットだ。
また、チェン一族の不動産とジュエリービジネスの企業価値は300億ドル(約3兆3600億円)とみられており、エイドリアン・チェンの祖父に当たるチェン・ユータンは1代で150億ドル(約1兆6800億円)の資産を築いた起業家だ。