「ブルガリ(BVLGARI)」がドバイにリゾートホテルをオープンした。「『ブルガリ』にとって5番目のホテルで、『ブルガリ』史上最多のファセットを持つ“宝石”と言える」というジャン・クリストフ・ババン(Jean-Christophe Babin)=ブルガリグループ最高経営責任者(CEO)の説明にふさわしく、同ホテルの面積は15万8000平方メートル。客室とスイート101室、ホテルヴィラ20戸、住居用アパート173戸、個人邸宅15戸(販売は数カ月前に開始)を備え、さらに50隻のボートを係留できる「ブルガリ」史上初のマリーナとヨットクラブもある。
ホテルが位置するのは、ドバイの高層ビルが集まる中心街から橋を挟んだタツノオトシゴの形をした人工島、ジュメイラ・ベイだ。「ブルガリ」が場所を探し始めたのは10年前。ババンCEOは、「この島はこのホテルを建てるのために建設した新しい島だ。土地から建設したのはわれわれも初めてだった。21世紀のポルトフィーノ(イタリア・リグーリア海岸のリゾート地)だ。この建設ためにドバイの不動産ディベロッパー、メラアス(MERAAS)と組んだ」と話す。
サンゴをイメージした格子細工が施されたホテルのデザインを手掛けたのはアントニオ・チッテリオ(Antonio Citterio)とパトリチャ・ヴィエル(Patricia Viel)だ。「モダンで大胆、かつユニークで建築物としても希少価値が高い。ドバイには、ブルジュ・アル・アラブやブルジュ・ハリファがあるが、それに次ぐ3番目のランドマークになることを願っている。ジュエリーは『ブルガリ』の根幹となるビジネスだが、ウオッチ、アクセサリー、香水、それにホテルを手掛けることでブランドイメージにいっそうの信用性が加わり、成功の原動力になっている。だがわれわれの全てのインスピレーションはジュエリーだ」とババンCEOは話す。
「ブルガリ」のホテル事業は拡大しており、18年初めに上海に、20年にモスクワにもオープン予定だ。今後の建設都市としてローマ、パリ、ニューヨーク、ビバリーヒルズ、東京の名前が挙がっている。次の建設場所は18年春に明らかにされる。
だが、ババンCEOは世界で15軒以上のホテルを建てるつもりはないという。「それぞれの宝石に輝きを与えたいなら、多くの宝石は持てない。これはホテルの事業にも言えることだ。サービスとホスピタリティーを維持したければ、数を持ってはいけない。秘密がなくなってしまうからね」と語った。