日本最大手の縫製企業で、広島県福山市に本社を置くマツオカコーポレーションが13日、東証一部に上場した。カジュアルウエアの縫製からスタートした同社は現在、中国、バングラデシュ、ミャンマーなどに縫製工場を持ち、従業員数は約1万人、年間の生産量は約8000万枚の巨大な縫製企業グループだ。上場によって、これまでベールに包まれてきた優れた事業体質や取り引き状況などが明らかになった。
上場目論見書によるとマツオカコーポ―レーションは、直接あるいは間接的に、売上高の7割を「ユニクロ(UNIQLO)」を中心にしたファーストリテイリング向けが占めており、ファーストリテイリングは2.89%を出資する大株主として名を連ねている。主力工場は3万8470平方メートルの土地に従業員数約4000人を抱えるバングラデシュで、現在は約20億円を投じ、月産200万枚にまで生産能力を増力中だ。
この数年は減収傾向が続いてきたが、2018年3月期は売上高が前期比9.7%増の567億円、営業利益が同12.7%減の36億円、経常利益は同5.3%減の38億円、純利益は同0.5%増の25億円を見込んでいる。自己資本比率は9月末で総資産388億円に対し純資産168億円で39.5%、売上高営業利益率6.3%と、ファイナンスや利益率の低さが構造的な課題として指摘されることの多い日本の縫製企業の中で高水準になっている。
売り出し価格2600円に対し始値は3800円、本日の終値は売り出し価格に比べ33.4%上回る3470円になり、今後への期待の高さをうかがわせた。
松岡典之マツオカコーポレーション社長は、「IoT(インターネット・オブ・シングス=モノのインターネット化)やさらなるグローバル化など縫製産業にも対応すべき新たな課題が発生しており、上場による知名度向上で多彩な人材を集め、次なる成長戦略を描きたい」と上場の狙いを語った。
グローバル規模では香港や中国の大手企業を中心に、縫製産業で上場や事業提携、素材メーカーの出資など業態を越えた再編が相次いでいる。マツオカコーポレーションは上場によって得た資金と人材で、世界規模での競争に備える考え。