キャリアコラム
連載 就活相談室

“99%両思い”状態⁈ インディテックスの日本新卒採用術

 ファストファッション「ザラ(ZARA)」をはじめ、「プル&ベアー(PULL & BEAR)」「ベルシュカ(BERSHKA)」「ストラディバリウス(STRADIVARIUS)」「オイショ(OYSHO)」「ザラホーム(ZARA HOME)」などを擁する世界有数のSPA企業が、インディテックス(INDITEX)だ。2016年12月通期決算の売上高は前期比11.4%増の233億ユーロ(約2兆6096億円)、純利益は同10.3%の32億ユーロ(約3584億円)で、カジュアル専門店の売上高世界ナンバーワン企業として君臨する。日本で約100店を運営するザラ・ジャパンをはじめとしたザラホーム・ジャパン、ベルシュカ・ジャパン、ストラディバリウス・ジャパンのインデックス4ブランドの新卒採用について聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):2018年4月入社予定の採用はもう終わったか?

インディテックス:受け付けは9月で終了し、目標人数にはある程度達したが、アルバイトやインターンをしている人などから希望があれば柔軟に対応している。

WWD:採用予定者数は?

インディテックス:非公表だが、4社合わせて100人単位の採用をしている。

WWD:17年4月に入社した新卒の数は?

インディテックス:短大・専門学校・大学生含めて90人。われわれは16年4月に初めて新卒を迎えて、17年4月入社が2期生。1期生を採用してみて、ある程度手応えがあり、「育てていける」という実感が持てたので、17年4月入社から高卒も採用している。しかし、新卒採用活動についてはまだまだ新米だ。採用数を増やすことよりも、しっかり育てることを目標にしている。

WWD:選考方法は?

インディテックス:会社説明会があり、その後、一般常識の筆記テスト。その結果を持って、マンツーマンの1次面接の後、店舗で5日間アルバイトをしてもらう。その後、2次面接で採用を決める。

WWD:5日間のアルバイト?

インディテックス:外から見たときの印象と実際に正社員として入社したときにかなりのギャップがあるだろうと考え、それを埋めるために考案した。一般のアルバイトとは異なり、5日間のトレーニングメニューを準備して、店におけるさまざまな業務を体験してもらう。授業や就活に差し支えのない範囲で、住んでいるエリアの店舗で1日6〜8時間勤務。1次面接から2カ月以内に5日間、働ける日を確保してもらう。もちろん時給を払う。そこでの体験をもとに2次面接を行うので、その時点で質問も具体的になっており、働くイメージも具体化されている。

WWD:なるほど。

インディテックス:内定が出た後も、自宅から通える店でトレーニングを続けるので、4月に入社する時点でもうスタッフとして活躍できるようになっている。たとえ、4月の配属が違う店になったとしても、チームから信頼されているので新卒生という扱いではなく、なじみやすい雰囲気になっている。

WWD:しかし、就活生を受け入れる店舗の負担も大きくないか?1次面接でかなり人数を絞るのか?

インディテックス:最初は理解してもらうために受け入れ店舗1店1店を回って、マネジャーに意図を説明した。また、初年度は10日間のアルバイトにしていたが、学生にとって負担だったので、5日間に短縮した。1次面接で何人に絞るというような設定はしていない。1人につき40分ほど話すし、質問も受けるが、大丈夫かな?と思っても、本人が望むのであれば店舗実習をしてもらう。面接や不慣れな環境で、良いところを全部出せというのも難しいだろうし、一緒に働いたトレーナーやマネジャーからは必ずいいところを見つけてフィードバックが来るようにしてある。店頭を体験することで、大きく考えが転換する人もいる。

WWD:店舗実習が1つのハードルでもあり、評価の機会でもある?

インディテックス:もちろん中には初日で挫折する人もいるし、「やっぱり大勢で働くのはきつい」とか「お客さまがこんなにいると思わなかった」「商品についてこんなに覚えるのはやっぱり苦手かも」という声もある。しかし、そういうことが入社後に分かるよりも、就活中に認識できれば、まだ他の企業に行けるチャンスがたくさんあるわけだし、お互いにとって有益だと考えている。一方、モチベーションが高い人が多いので、最近では店の方から「トレーニング生を受け入れたい」や、トレーニングを終えた人に対して「ぜひうちの店に配属してほしい」というリクエストが来たりするようになってきた。われわれ人事も育っているし、お店も受け入れることで育っている。学生にとってもハッピーに働くことができる環境を確認できるので、いい循環になっていると思う。

WWD:合わないと思ったら2次面接には来ないだろうし、マッチング率も非常に高まりそうだ。

インディテックス:“99%両思い”というような状態だ。ただ、内定を承諾してもらうまでに1カ月の猶予を設けており、「まだ迷っている」という人にはアルバイトを継続してもらうなど、しっかり決めてもらえるように努めている。

WWD:店舗数からいって配属は「ザラ」が多いと思うが、希望は通るのか?ブランド間異動はありうるか?

インディテックス:選考時点で希望を確認し、基本的にその希望を尊重する。そして会社はそれぞれ独立しているので、基本的にブランド間異動はない。店の配属に関しては、自宅から1時間半以内で通える店で、その範囲内であれば異動もある。また、ポジションに着く際には店舗異動が発生することが多い。

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