LINEが2018年上半期、シェアサイクル事業に参入する。中国でシェアバイク事業を運営するモバイク(mobike)の日本支社に出資をし、業務提携を開始する。国内で圧倒的なユーザー数を抱えるLINEアプリを活用し、空き状況の検索や決済が行える仕組みを整える。20年の東京オリンピックに向けて、混雑する電車に代わる新たな交通手段となることを目指す。LINEが推進する地方自治体との協業も視野に、まずは地域を絞って試験的に導入し、今後拡大を目指す。
出澤剛・社長は、「日本は世界有数の自転車保有数をほこる。特に、若年層では車の保有率が下がっている。シェアリング市場の規模拡大に加えて、生活スタイルの変化を感じ、(シェアリング事業に)強い関心を持っていた。今後さまざまなシェアリング事業をやっていく上でのファーストステップだ」と経緯を語る。胡瑋煒(フー・ウェイウェイ)モバイク創業者兼社長は自社の特徴について、「サイエンスを使って、より便利な生活を提供することを目指している。(すでに首都圏で大きなシェアを持つ)ドコモなどとは競合にならない。相互補完性があるはずだ」と説明する。
モバイクは15年に創業。アプリで解錠できるスマートロックに加えて、空気を必要としないタイヤを使った“4年間メンテナンスフリー”の自転車を自社開発。シンガポールを皮切りに世界200以上の都市で8000万台のシェアサイクルを展開している。1日の利用回数は世界で3000万回以上。過去にはプロダクトデザイナーの深澤直人を起用した自転車もある。
直近ではメルカリも2018年にシェアリングサイクル事業「メルチャリ」の開始を発表するなど、IT企業を中心にシェアサイクル市場が大きな広がりを見せている。