インスタグラム(Instagram)とグーグル(GOOGLE)がともに、2017年に“バズった”キーワードのランキングを発表した。その中で注目されたファッションブランドを比較すると、思わぬ違いが見えてきた。
インスタグラムでバズったブランドランキング
1.「ディオール(DIOR)」
2.「エルメス(HERMES)」
3.「グッチ(GUCCI)」
4.「サンローラン(SAINT LAURENT)」
5.「トップショップ(TOPSHOP)」
6.「バレンシアガ(BALENCIAGA)」
7.「バーバリー(BURBERRY)」
8.「バルマン(BALMAIN)」
9.「クロエ(CHLOE)」
10.「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」
グーグルで最も検索されたブランドランキング
1.「グッチ(GUCCI)」
2.「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」
3.「シュプリーム(SUPREME)」
4.「ファッション ノヴァ(FASHION NOVA)」
5.「シャネル(CHANEL)」
6.「サンローラン(SAINT LAURENT)」
7.「ディオール(DIOR)」
8.「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」
9.「ヴァレンティノ(VALENTINO)」
10.「モスキーノ(MOSCHINO)」
インスタグラムといえば10〜20代に人気の写真を主にしたSNS。一方、グーグルは全世代が使う検索エンジンで、それぞれのメーンユーザーは少しずつ異なっている。
2つのサービスに共通してランクインしたブランドが「ディオール」と「グッチ」だ。「ディオール」は、16年に初の女性クリエイティブ・ディレクター、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が就任。フェミニニティーやエレガンスの新しい解釈がミレニアル世代の支持を得ている。「グッチ」はクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)に変わってから性差も時代も超えるボーダーレスな価値を提案している。
この2つのブランドに共通することは、高級メゾンながらも、従来のブランドイメージを超えた新たな価値観の訴求によって、ミレニアル世代に支持されていることだろう。そのため、グーグルにとどまらずインスタグラムでも上位にランクインできたものと考えられる。
一方で、グーグルの検索ランキングにだけランクインしたブランドが「シュプリーム」と「ファッションノヴァ」だ。「シュプリーム」は「ルイ・ヴィトン」との衝撃のコラボや、服だけに限らずギターメーカーとコラボするなど、常に話題に事欠かない。名だたるファッションブランドを差し置いて4位に輝いた「ファッションノヴァ」はカリフォルニア発のECサイトだ。日本ではあまり知られていないが、ミレニアル世代をターゲットとしたカジュアル系ECサイトだ。
インスタグラムのランキングがミレニアル世代の人気ブランドを反映していると考えていたが、実際はインスタグラムのランク外で、グーグルのランキングに入っているブランドの方が、むしろミレニアル世代に人気のブランドであるように思える。これらのブランドはミレニアル世代の支持を受けつつも、インスタグラムで“見たい”のではなく、オンラインで“買いたい”ブランドなのではないかと推測する。両サービスの特性から、このような消費者のブランドに対する考え方も見えてくるのかもしれない。