「ディーゼル(DIESEL)」のニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)=アーティスティック・ディレクターが退任することが分かった。創業者のレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)とニコラは、「(4年に及んだ)契約は今年の12月で満了する。それだけのこと。素晴らしい経験だったし、2人の関係性は本当にスペシャルなものだった」と話した。レンツォ創業者は、ニコラが「ディーゼル」のビジネスの21%を占める日本生まれで、同時に創業の地でもあるイタリアの血を引くことなどに触れ、「ニコラのことが大好き。2人は互いを補い合う関係だった」と続ける。
後継者については、「この会社は他とは違う。違うことができる会社だ。スペシャルプロジェクトが目白押しだ。市況は厳しいが、我々は先進的になれるはずだ」と話す。ブランドは今年、ヨーロッパの不調などにより、創業以来初めて赤字に転落した。
ニコラは「ディーゼル」での時を、「最高の時を過ごしたが、契約を満了することで合意した。次のプロジェクトに向かってまい進するが、僕らの絆は永遠だ」という。具体的には、アーティストへの衣装提供が増えている「ニコパンダ(NICOPANDA)」に注力する計画で、「いつか映画を作ってみたい」と締めくくる。「ユニクロ(UNIQLO)」の仕事も継続する。
「ニコパンダ」はアマゾンファッション(AMAZON FASHION)のヨーロッパチームとユニセックスのストリートウエアを作るプロジェクトに取り組み、ロンドン・ファッション・ウイークでプライム会員限定の“SEE NOW, BUY NOW”、見てすぐ買えるファッションショーを開催した。ニコラと共に2つの会社を手掛けるケヴィン・コレンダ(Kevin Kollenda)は、「今はアメリカのセレクトショップ、アーバン アウトフィッターズ(URBAN OUTFITTERS)とのコラボに取り組んでいるところ。他にも間もなく、北米最大規模の小売店とのパートナーシップを発表できるだろう。4月にはビューティ、以降は出版にも挑戦するつもり」。来年中には、ニコラとニコパンダの絵本を発売するようだ。無料の雑誌「フリーマガジン(Free Magazine)」も継続する。
「ニコパンダ」はより多く、特に若年層のファンの期待に応えるため、価格を下げ、販路も変更する。年明けにはポップアップストアを設け、2019年には路面店を構えることも検討している。
ニコラは飛行機のパイロットだったイタリア人の父と、スチュワーデスだった日本人の母の子どもで、静岡県沼津市で生まれ育った。