メルカリ(MERCARI)は22日、研究開発のための新組織「メルカリ R4D(以下、R4D)」の設立を発表した。「R4D」は開発(Development)と設計(Design)、実装(Deployment)、破壊(Disruption)の4つの「D」を総称したもの。いわゆる研究機関を意味する“R&D”の延長として、最先端技術の研究にとどまらず、いち早く実装できるサービスの開発を目的とする組織だ。子会社のソウゾウやメルカリファンドでの事業化を目標に、「R4D」での研究に加えて、外部企業との提携も積極的に進める。初年度は数億円の投資を見込み、今後さらなる投資をしていく考え。
メルカリの木村俊也・研究開発オフィサーが代表を務め、シニアフェローとしてアーティストのスプツニ子!、小笠原治・京都造形芸術大学教授を招へいする。まずは、メルカリとも関係が深いAIやIoTの分野で、シャープや東京大学、筑波大学、慶應義塾大学、京都造形芸術大学、東北大学と共同研究を進める。類似画像検索サービスの分野では、ピクシーダストテクノロジーズの落合陽一・社長とも共同研究を行う。
発表会に出席した山田進太郎メルカリ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「ここまでの成長は、UI・UXへのこだわりと積極的なマーケティングがカギだったと考えている。これからは技術で差別化するフェーズ。今後3年で1000人規模のエンジニアチームを作り、技術的ロードマップにしたがって、戦略的に研究を進めていきたい。他の追随を許さない、日本を代表するテックカンパニーを目指す」とコメント。共同研究に取り組む種谷元隆シャープ研究開発事業本部長も、「ハードウエアからスタートしたシャープは105年を経て、IoT分野にステップインしていこうという段階。メルカリとは100歳違いだが、共同でIoTを活用したサービスの社会実装を目指したい」と意気込む。
シニアフェローに就任したスプツニ子!は、「デザインは単なる装飾だと考えられがちだが、デザインはもっと未来を先導するものだと考えている。例えば、自動運転技術一つとっても、単なる移動手段ととらえるのではなく、例えば病室や美容室が移動したり、発想の転換次第でいろんなアイデアが生まれる。デザイン的な発想が新しいテクノロジーを生むこともある。このようなデザインの力にも注目してほしい」と話した。
メルカリは2013年2月に設立。フリマアプリの「メルカリ」は12月時点で1億ダウンロードを超えた。今年は“知識を売買”する新サービス「ティーチャ」をはじめ、ライブ配信機能、即売サービスの「メルカリNOW」など、新機能を数多くローンチしており、新事業を専門に扱う子会社のソウゾウやメルカリファンドなどを通して、最先端技術を活用した事業拡大に積極的に取り組んでいる。