スニーカー専門店のアトモス(ATMOS)を運営するテクストトレーディングカンパニーは11月11日、スニーカーコンベンション「アトモスコン(ATMOS CON)」を開催した。3回目の今回は、東京・表参道ヒルズのスペース オー(448平方メートル)を会場に「ナイキスポーツウェア(NIKE SPOTSWEAR)」や「アディダス(ADIDAS)」「アシックスタイガー(ASICS TIGER)」「プーマ(PUMA)」など14ブースが出店し、過去最大規模となった。2回目までは無料だった入場料を500円に設定したにもかかわらず、前売り券だけで1500枚を販売。開場前には500人が行列し、入場者数は2700人に上った。想像以上の来客に会場は人であふれ、大盛況のうちに幕を閉じた。
同イベントは“スニーカーヘッズ”と呼ばれるスニーカー好きの交流の場として始まった。「アトモスコン」を企画するテクストトレーディングカンパニーの近藤浩人ディレクターは「スニーカー発売日の行列には意外と一人で並んでいる人が多い。スニーカーヘッズ同士、SNS上では情報交換のためにつながっていても実際は会ったこともない。そういうスニーカー好きのための交流の場を作りたかった」と開催経緯を説明する。1、2回目は、入場無料の代わりに来場者一人一人にSNSのアカウント名・ニックネーム、足のサイズなどを記載したネームシールを貼った。1回目は、収支としては大きくマイナスだったものの来場客から好評を得て2回目に続き、ビジネスとして成立したのは3回目からだ。
「アトモスコン」のもう一つの狙いは「メーカーと普段接することのないお客さまをダイレクトにつなげること」だ。今回の大きな課題は女性客へのアプローチ。MINMIのライブや女性インフルエンサーを招待したトークショーなど、出演者の多くを女性で構成した。結果的に2回目までは5%以下だった女性比率が今回は30%ほどに上がり、各メーカーからも高評価を得たという。
米LAのロングビーチで開かれる「コンプレックスコン(COMPLEX CON)」をはじめ、今ファッション系のコンベンションに注目が集まっている。近藤ディレクターは「わかりやすい共通の趣味があることで、来場者同士のコミュニケーションがいつも以上にとれる。主催者側もスニーカーが好きなので一緒に楽しめ、イベント自体に熱気がある」と話す。一方で、海外ではチケットが50~400ドル(約5600〜4万4800円)で販売されているのに、スマホの電波がつながらないほどの動員数を誇る。「日本でもコンベンションをカルチャーとして根差かせたい」と近藤ディレクターは語る。
「アトモスコン」は、海外のスニーカーショップや各メーカーの視察も多く、イベント開催中に新たに6メーカーから次回出店のオファーがあった。4回目は渋谷ヒカリエ(約1400平方メートル)を会場とし、さらなる規模拡大を目指す。12月にアジア初の路面店を韓国にオープンしたアトモスだが、ゆくゆくはアジアでも開催したい考えだ。