東京のファッション・ウイークの公式会場の演出について文句があります。関係者に何度かお伝えしましたが、真剣に受け取ってもらえないので、コラムに書くことにしました。
最初に、文句があるのはショー自体についてではなく、ショーが始まるまで待っている時間の話です。とにかく会場が
暗すぎる!
数シーズン前から多くのショー、特に若手のショーは、開場からショーが始まる前の約30分間は照明が消されており、ずっと真っ暗なのです。こんな感じです。
こちらはショースタート10分前の様子です。iPhoneの機能の高さゆえ、実際より明るく写っています。目視するともっと暗く、夜に部屋の電気を消した状態とほぼ同じです。
私が「暗いのはよくない」と思う主な理由は次の3点です。
1.誰がいるかわからない
2.もらったリリースが読めない
3.気が滅入る
まず、1の「誰がいるかわからない」。これは大きな問題です。ファッションショーの場は、服を見せる場であると同時にコミュニケーションの場です。数メートル先にいる人が誰だかわからない環境ではコミュニケーションは成立せず、隣の席の人との会話がせいぜいです。この時、私の席の対面のフロントローでは有名人らしき誰かを誰かが撮影しており、ショーが始まって初めて被写体がモデルの冨永愛さんだとわかりました。
最近はアジアの国が東京でショーを開くケースが増えています。記者としては、タイやインドネシアやフィリピンなど海外勢のショーでは、その国の関係者の名前が分からずとも、突撃取材をしてコメントを得たいものです。しかしそれも、暗いためにショーの前は難しく、ショーの後はあわただしく次の会場へと移動するため、取材もままなりません。
2つ目の「もらったリリースが読めない」。これも問題です。リリースはショーの後に読めばよいですが、問題は、リリースにはそのショーをサポートした企業の名前が記されていることが多いということ。時にはその企業が扱う商品の説明書が同封されていることもありますが、それも暗くては読めません。デザイナーの多くは支援してくれた企業に少しでもメリットを返したいと思っているはずです。シンガポールやジャカルタのファッション・ウイークではショーが始まる前に、TVCMのようにスポンサー企業の広告映像が流れることがあります。そこまでやろうとは言いませんが(やってもよいと思いますが)、少なくともウィン・ウィンではありたいですよね。ショーが終わった後で客席に開かれていないリリースが残されているのを見ると、ビジネスチャンスを逃しているなあと残念に思われます。
3つ目の「気が滅入る」は文字通りです。特に朝一番のショーを暗い中で待つのは気が滅入ります。「ダーク」がブランドのイメージならいざ知らず。明るく元気な若手ブランドなら、ショーが始まる前からその世界観を演出するのもひとつの手です。
なんといってもファッションだもの、上げていこう!じゃないですか!次シーズンでの改善を期待します。