官民ファンドのクールジャパン機構の太田伸之・社長は20日、会見を行い、「投資案件に関しては慎重すぎるくらいに決定している。われわれの会社は融資ではなく、投資。100やって100戻ってくるってことはないわけで、全体に損をしないでお金を返す。リターンが先にくることもあれば数年後になることもある」と語り、一部の報道機関からの「戦略なき膨張だ」という指摘に真っ向から反論した。
2013年11月に発足したクールジャパン機構は20日時点で、件数ベースで25件、決定額ベースで約530億円の投資を行っている。投資先はメディア・コンテンツ、インバウンド、食・サービスなど多岐にわたっており、ファッション関連では三越伊勢丹ホールディングスと合弁で運営するマレーシア店「イセタン・ザ・ジャパン・ストア・クアラルンプール(ISETAN THE JAPAN STORE KUALA LUMPUR)」、エイチ・ツー・オー リテイリングとの共同事業で2018年秋に中国・寧波で開業予定の阪急百貨店、「45R(フォーティファイブ・アール)」の海外合弁会社などがある。
イッセイミヤケ社長、松屋常務執行役員を経て、クールジャパン機構の発足と同時に社長に就任した太田社長は、成果が出ていないという報道に関しても「民間のファンドではないので、すぐリターンがあるわけではないし、初年度から赤字でも当たり前。その代わり、場合によっては社員教育にも手を染めるような細かい支援を行っている。それに例えばアニメなどのメディアだけで稼ぐのは難しいかもしれないが、日本の良さを発信してもらって、その受け皿としての地上戦、リテールで儲ける、というクールジャパン投資全体でのシナジーもある」と話す。
その上で、「先日3年ぶりに台湾に行ったら、えらい変わってて、どこを歩いても“日本”があった。クールジャパン政策を進める中、成果も上がっている」と語った。