アウトドアブランド「エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)」は、スマートテキスタイル企業ルーミア(LOOMIA)と共同でスマートウエアを開発し、同意を得た一部の顧客を対象にテストを行っている。
同ウエアにはルーミアが開発したタグサイズの小さな機器が埋め込まれる。この機器から、顧客がそのウエアを捨てるまでに何回着用したか、着用した頻度やタイミング、新しいウエアの購入を検討する時期などを計測することができる。ブランド側はこの情報を元に商品開発などを行う。
「エル・エル・ビーン」のチャド・リーダー(Chad Leeder)=イノベーション・スペシャリストは今回の取り組みについて、「顧客層の傾向からも、どちらかというと新しいことに慎重だった。しかし、『アマゾン(AMAZON)』などの企業と競争するには新しいことに挑戦しなければいけない。また、顧客対応に力を入れる他のブランドに勝つためにも、全く新たな次元のカスタマーサービスを作り上げなければならない」と語った。
現時点ではテスト期間や規模などの詳細は公表されていないが、テスト対象となった顧客はブランドの熱心なファンの中から選ばれているという。また、情報提供にはプライバシーの問題が浮上するが、ブランドが情報を取得するためにはユーザーが自身のスマートフォンにデータを同期する必要があるという。また、今後仕様変更の可能性はあるが、現時点では、同期するタイミングはユーザーの手に委ねられているという。
「ユーザーはタグをスキャンすることで情報を送信する。製品情報や使用時間など、送信したい情報をユーザー側が選ぶこともできる。ユーザーが希望しない限り、位置情報は送信されない」とジャネット・リリアーノ(Janett Liriano)=ルーミア最高経営責任者は説明した。
なお、同機器は多くのウエアラブル機器が抱えるバッテリー問題も解消している。圧電技術を使用することでユーザーの動作から電力を生み出すという。また、ユーザーが毎日同期する必要がないように、プロセッサーセンサー、ストレージも内蔵されている。さらに、データの保護にはイーサリアム(ETHEREUM)というプラットフォームを経由したブロックチェーン技術を使用しており、複雑さに対するユーザー側の不安解消に努めている。