ファッション

コレットが原点 日本人が手掛けるパリ発ジュエリー「ジーバンジーバカ」

 「ジーバンジーバカ(JIVAMJIVAKA)」は、極楽浄土にいるという双頭の鳥の名を冠したジュエリーブランドだ。神話に登場する神々からアメコミのキャラクターまで多彩なモチーフをジュエリーで表現している。デザインのイメージソースを得るためによく足を運ぶというまんだらけ渋谷店で、西沢卓也「ジーバンジーバカ」デザイナー(以下、西沢)に話を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):玩具製造卸会社には新卒で入社した?

西沢:大学卒業の時期に就職したい企業がなく、唯一働いてみたいと思えた会社でした。中途採用しかしていなかったのですが応募してみたところ採用され、販売や企画を経験することになりました。中途入社の同僚ばかりなので、自分とは知識量に大きな差があり苦労しましたね(笑)。

WWD:フランスに渡ることになったきっかけは?

西沢:何度かフランスには旅行で訪れていたのですが、その時足を運んだコレット(COLETTE)に展示されていた“ベアブリック(BE@RBRICK)”に衝撃を受けました。“ベアブリック”は縦置きされているのが普通なのに、横たわった状態でこちらを向いていたんです。この空間を作り上げている人たちの感覚、モノの見せ方に惹きつけられました。コレットで働きたいとさえ思いました。現地に住んでいた知人に紹介してもらい語学学校に通うことになりました。

WWD:「シャネル」のジュエリーデザイナーとの出会いは?

西沢:パリのワインバーで知り合いました。渡仏して3〜4カ月の頃で、まだフランス語もろくに話せませんでした。でも彼女は日本人である僕に興味を持ったようです。フランス人は日本人の感性、料理、絵画などに対する関心が本当に高いです。誰もが葛飾北斎の名を知っていますよ。後日、彼女の自宅兼アトリエに招待され、ジュエリーを作ってみるよう勧められました。初めに、2Hの鉛筆とコンパス、定規、型紙を買ってくるように言われ、デッサンを書く日々が始まりました。僕は絵が下手だったのですが、上達すると言葉では伝えにくいイメージを絵で伝えることができると気付きました。まだジュエリーを造形することができなかった頃に、僕のデッサンを見た彼女から「いいものを持っている」と褒められたことが本当にうれしくて、ジュエリーを作ることを決意しました。

WWD:ジュエリーのモチーフは何?

西沢:ヒンドゥー教のシヴァ神やタイの神をアレンジしたり、アメリカ映画の「Transformers」のキャラクターや「ウルトラマン」の怪獣の一部、例えば手の部分などを造形に取り入れたりしています。モチーフはその都度変わりますが、一貫して“宇宙”が重要なコンセプトになっています。あらゆるモノは突き詰めれば宇宙に通じていますし、世界中どこへ行っても通用する概念ですよね。変わらないコンセプトが根底にあることで、考えやすくなります。

WWD:活動拠点は?

西沢:パリを拠点に、基本的には個人から注文をもらって一点モノのジュエリーを制作しています。この12月に福岡のカフェ「カーボンコーヒー(CARBON COFFE)」で1週間、展示会を実施しました。その前には渋谷のバー「カーボン」でも展示会を実施しました。

WWD:どんな人から注文を受ける?

西沢:ゴールドのジュエリーの注文は50代以上の人からがほとんどです。シルバーは20〜40代の人が多い。その人のセンスや指の形に合わせて造形していきます。おしゃれな人は、自分自身をよく理解していると思います。僕がスタイリングする必要はないし、その人のスタイルにジュエリーを当てはめてくれればいいと思っているので「ジーバンジーバカ」のジュエリーはユニセックスです。

WWD:憧れのコレットが閉店しましたが?

西沢:コレットがなくなってしまえばパリにこだわる理由もなくなるので、拠点を移すことを考えています。今、ジュエリーの市場はアメリカにあるのではないかと思います。わざわざパリの職人に会いに来て、その場でジュエリーを買って帰るアメリカ人もいます。アメリカは、音楽のパフォーマンス一つを取ってもそうですが、見せ方はとても上手。でも歴史が浅い国なので、伝統や緻密な作業が彼らの歴史には欠けているように思います。だからこそ、アメリカ人はそうしたモノに高いお金をかけることをいとわない。

WWD:服作りに興味はなかった?

西沢:実は父親がカットソーの製造会社を営んでいたので、洋服は小さい頃から身近にありました。だからこそ、洋服で勝負しようとすればたくさんのライバルに勝たなければならないし、人一倍の知識、センス、素材が必要だという実感があります。「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」の創業メンバーでデザイナーの先輩が、ずっと続けてきた洋服のデザインをやめて、50歳くらいの時にジュエリーのデザインを始めたんです。その先輩は「服がありふれている世界で勝負に勝っても、それに見合う稼ぎを得られない。ジュエリーにはその余地がある」と言っていました。

WWD:今後の目標は?

西沢:ゴールドのジュエリーを作ることです。例えば「ロレックス(ROLEX)」の時計は、世界基準で換金価値を持ちますよね。プラチナやゴールドも同じで、その素材自体の価値に、デザインとしての自分の意図を加えたい。今のジュエリーブランドの主流はシルバーで、ゴールドで面白いことをやっているブランドは少ないので、新しいことができるような気がしています。今後は量産も予定しており、卸先を探すと同時にファッションブランドとのコラボも検討しています。コレットが閉店した今、ドーバーストリートマーケット(DOVER STREET MARKET)で販売することが夢です。

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