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米フレッドシーガル社長が語る日米連携戦略

 LA発のセレクトショップ「フレッドシーガル(FRED SEGAL)」が日米共に新たな経営体制の下で生まれ変わっている。11月中旬に来日したジョン・フライアソン(John Frielson)フレッドシーガル社長は、2015年に米国のトップに就任。もともとはニューヨークとパリを拠点にラグジュアリーファッション業界で20年の経験を持ち、LAの業界最大手のタレントエージェンシーCAA(クリエイティブ アーティスツ エージェンシー)で、ライフスタイル・プロダクトの販売で成功し脚光を浴びた人物だ。9月にLAウエストハリウッド(サンセット通りとラ・シェネガ通りの角地)にオープンした新旗艦店のサンセット店が象徴する新しい経営と、日米の連携など今後の関係について直撃した。

 ジョン社長はサンセット店について「フレッドシーガルを象徴するライフスタイルセンターだ。商品を売るだけでなく、カフェやレストラン、ワインショップ、フィットネス&ボクシングジム、ヘアサロンなども集積。フレッドシーガルを体験するスペースであり、わざわざ訪れる価値のあるデスティネーションストアとしていきたい」と語る。

 店そのものをメディア兼イベントスペース兼リテールという、ハイブリッドなストアとして明確に位置付けているのが特徴だ。「ファッションやアイウエアなどの自前のゾーンと、ショップ・イン・ショップゾーンとのコンバイン型とする。ラルフローレン(RALPH LAUREN)の『ダブルアールエルRRL』や『LTH JKT』、地元LAを代表するデザイナーズブランドの『リバティーン(LIBERTINE)』、NY発の『CAP ビューティ(CAP BEAUTY)』が編集したオーガニック&ナチュラル商品を集めたビューティコーナーなど、魅力的なショップを集めた」。

 フラワーショップや、サンフランシスコ発のタルティーンベーカリーが運営するベーカリーカフェも併設する。

 期間限定で企画・運営するイベントゾーンの豊富さもウリとしている。「アーティストやデザイナーたちが自由に表現ができる場を多く設けた。次々と企画を用意しているところで、店をステージとして活用していく。これを私たちは、“プログラミング・リテイリング”と呼ぶ新しい概念で店を運営していく」と明かす。

 売り場面積は約3700平方メートルで、自主運営部分が約2000平方メートル。そのうち1300平方メートルをポップアップ・スペースとして可動式のしつらえとしている。1日限りのイベントや、1週間のもの、3カ月のものなど、常に新しい、さまざまな企画を用意し、集客につなげるとともに、顧客やファッション業界人などを含めたフレッドシーガルのファンの拡大につなげる。

 ちなみに、オープニング時には、フレッドシーガルの象徴的アイテムでもあるジーンズの代表的ブランドであり、西海岸を代表する「リーバイス(LEVI’S)」をフィーチャー。カスタムコーナーや、リアル店舗として世界で初めて「リーバイス」と「グーグル(GOOGLE)」が共同開発したスマートジャケット“プロジェクトジャカード”を販売したりもしている。 11月に行った「アディダス(ADIDAS)」×「キス(KITH)」のポップアップショップにも大行列ができて、話題を呼んだばかりだ。

 アメリカファッション協議会(CFDA)とタッグを組み、米国デザイナーをフィーチャーしたコーナーも用意した。「米国を代表するベストなデザイナーを4~8ブランドずつ提案する。若手デザイナーやリブランディングを行ったブランドなどをカリフォルニアでナンバーワンのストアで販売することで、ブランドが成長する機会を提供したい」とジョン社長。

 これらの商材や企画などを含め、より米国と日本との連携も強化する。日本事業に関しては、8月10日付で、藤田浩行・前ナノ・ユニバース社長が共同経営者兼クリエイティブ・ディレクターを務めていたヰノセントがフレッドシーガル本国とライセンス契約を締結。その後、藤田氏はヰノセントの経営から離れ、個人でフレッド シーガル ジャパンを設立し、社長に就任するとともに、諸戸ホールディングスから代官山店と神戸店の2店舗と事業を譲り受けている。マリン&ウォーク横浜店は諸戸によって閉鎖されている。

 ジョン社長は「小売り経験が豊富な藤田さんが日本事業に加わってくれたのはとてもエキサイティングなことだ。アグレッシブに東京ともコネクトして、シームレスに運営していきたい。新たな成長戦略も策定しているところ。サンセット店の旗艦店の波及効果もあると思う。近い将来、アジアのフラッグシップショップとなる大型店を東京にオープンしたい」と語る。

 これまで遅れてきたECについては、「データの収集や分析、顧客行動、働き方など課題はあるが、この分野は藤田さんが詳しいので協力してもらう。単に売り上げを伸ばすためのものではなく、ブランドの魅力を発見し、顧客と強く結ばれるための仕組みやサービス作りを目指したい」という。

 藤田フレッドシーガルジャパン社長は「米国とのリレーションを図りながら、日本のビジネスを成長させたい。ECについては、18年中にブロックチェーンの技術を活用したクラウドシステムをベースとした販売機能と顧客管理システムを作ろうと動いている。マイニングスピードが速いため、最適化されたインターフェイスや高いセキュリティが可能になる。小売りとしてはフレッドシーガルが世界で初めての試みとなると思う。R-FIDタグ(ICタグ)を使って、新しい顧客体験を、世界で提供していきたい」と意気込む。

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