インフルエンサーという言葉は知っているけど正直よく分からないし、ちょっと怪しいとさえ思っている。そんなアナタのために、インフルエンサーに特化したマーケティングを実践するリデル(Liddell)の福田晃一・最高経営責任者(CEO)が分かりやすくインフルエンサー・マーケティングのイロハを解説する同連載。第2回は企業がハマりがちな、インフルエンサー向けイベントの初歩的な失敗を学びます。
Q.なぜインフルエンサー・マーケティングがうまい企業は少ないの?
A.インフルエンサーをメディアとして捉えず、彼女たちの個性を尊重していないからです。
インフルエンサーを起用したイベントを開催しても、用意したハッシュタグ付きの投稿が数件しかなかったり、結局モノは動かなかったりという話をよく聞きます。結果、インフルエンサー・マーケティングに懐疑的になってしまった企業もあるでしょう。なぜ失敗してしまうのでしょうか?
この連載の1回目(お父さんのためのインフルエンサー・マーケティング講座 Vol.1)が理解できたら、答えはきっと分かるはずです。理由は、インフルエンサーをメディアとして捉えていないから。フォロワー数に固執するのではなく、ブランドやプロモーションしたい商品との親和性などを考慮し、選んだインフルエンサーに「いいね!」と共感してもらえる空間を生み出し、最終的に投稿がタイムラインに流れてフォロワーて興味・関心を高めるという姿勢が不可欠です。初回でも話した通り、既存の雑誌やウェブメディアとの付き合い方と何ら変わりません。
まず失敗する企業は、インフルエンサーの選び方を間違えています。フォロワー数だけを見て選ぶのは、発行部数だけを見て出稿する雑誌を決めるのと同じこと。そうするとカジュアルブランドなのに「装苑」などのモード誌にタイアップを打ってしまったような、「えっ、なんで⁉」という投稿につながってしまいます。企業もインフルエンサーもフォロワーも誰の得にもなりません。フォトブースを設け、そこだけで写真を撮らせて、投稿させるのも陥りやすい過ちです。100人のインフルエンサーを招待して全員に同じ写真を投稿してもらうのは、雑誌は違うのに同じタイアップページばかり作るのと同様です。そんなの気持ち悪いしになにも面白くありません。
大事なのは、「制限された空間の中で、自由を与えること」です。インフルエンサーへのお願いは、「この空間の中で写真を撮ってください。プロモートしたいグロスのテーマは“ハッピー”です」くらいで十分。あとは“ハッピー”な仕掛けをいくつも用意すれば、100人100様の発信があるはずです。インフルエンサーは、空間や仕掛けが面白ければ約束の1投稿にも気合が入るし、もっと楽しめたら5投稿も6投稿もするだけでなく、ストーリーも使います。うまくいけば100人のインフルエンサーが合計500や600投稿することもある。出稿金額の5倍とか6倍のページをもらい、大型のタイアップができたかのような大成功も夢ではありません。
弊社が一緒に取り組んだ最近のインフルエンサー・マーケティングでは「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」の新作リップ“クラッシュド リップ カラー(Crushed Lip Color)”のイベントが大成功しました。「ボビイ ブラウン」とは、どんなインフルエンサーを招待するかから話し合い、空間も一緒に制作しました。雑誌のタイアップに代理店があるように、インフルエンサー・マーケティングにおいてもわれわれのような誰かの助けを借りることも必要でしょう。