伊勢丹新宿本店は1月4日、冬のクリアランスセールを開始した。例年に比べて開始日を1~2週間前倒ししたことで注目を集めていたが、同店によると10時30分時点の入店客数は昨年比8%増の約8000人だった。
行列には今までに引き続き、特定のブランド、アイテムを購入するために並んでいる人が目立った。本館正面口の先頭に並んでいた20代女性は「狙っているのは『コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)』のニットで、朝5時から並んでいた。『ギャルソン』の丸の内路面店のセールにも行ったが、目当てのものがなかったので伊勢丹のセールに来た」と期待を見せた。行列中央に並んでいる女性2人組は「『ギャルソン』や『サカイ(SACAI)』を狙っている。他ではルミネのセールにも行く予定だ」と話した。また、メンズ館の先頭に並んでいた今年新成人の男性は「成人式用に『アトウ(ATO)』の伊勢丹限定のスーツを買いに来た。3日の初売りで買いに行ったが、次の日のセールで安くなると知ったため、4日の0時から並んでいた。寒かったが、根気と若さで乗り切った」と今回のセールへの意気込みを見せた。
店内はどのフロアも多くの人でごった返していたが、特に本館の2階と3階、メンズ館の2階に多くの人が集中していた。「コム デ ギャルソン」の人気は引き続き継続。セール商品以外にも春物を探している人も多かった。
今回のセール前倒しは「早く春物の商品を見たいというお客さまの声に応えるため」とのことだが、実際「早い方がいい」という消費者が多かった。先述の新成人の男性も「1週間遅いと成人式に間に合わない。4日からセールでよかった」と語り、その他の人からは「仕事が本格的に始まる前だから」「正月明けすぐなので購買意欲が個人的に高まっている」「お年玉をもらった直後でたくさん購入できる」など歓迎する声が挙がった。3日の初売りでは、翌日のセールを見越しての買い控えも心配されたが、セール対象外商品の他冬用の小物類の動きは良かったという。
開店時に本館の正面入口で行列客を出迎えた杉江俊彦・三越伊勢丹ホールディングス社長は、商環境の変化に基づき柔軟に対応することが大切と説く。「セールのシェアはかつてほどではなく、(この時期でも)プロパー(正価)の売り上げの方が高くなることが多い。取引先(アパレル)も商品を作りこまなくなっており、時期はそれほど重要ではなくなった。伊勢丹新宿本店は(3日の)初売りと同時にセールを行わないのは、(客が殺到する恐れがあり)お客さまの安心安全の面からもそれぞれをイベントとして分ける方が適切だ。ただ地方店は同時でもいいのかもしれない」。夏のセールに関しては「正月というイベントがないため冬と一緒にはできないが、夏は夏で柔軟に考える」としている。