LA発のティー専門店「アルフレッド ティー ルーム(ALFRED TEA ROOM)」が2017年秋、日本に上陸した。ミレニアルピンクのフォトジェニックな店装やパッケージデザインは、オープン前から話題を集めていた。今となってはそのSNS映えするデザインだけでなく、こだわりの味にファンが増えている。お茶といえばアジアやヨーロッパを想定するが、LA発の「アルフレッド」は厳選茶葉を使用した“本質の美味しさ”を追求しつつも、アメリカらしいカジュアルで遊び心あるスタイルが独創的。来日した「アルフレッド 」のジョーダン・G・ハーディン(Jordan G. Hardin)=ビバレッジ・ディレクターとジョシュア・ザッド(Joshua Zad)創始者兼最高経営責任者(CEO)、日本で運営するカフェ・カンパニーの楠本修二郎・社長と日本メニューを手掛けた伊藤孝志「ラヴォンド ティー サロン(LUVOND TEA SALON)」店主に話を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):カフェ・カンパニーは17年、ギンザ シックス(GINZA SIX)にティーマイスターの伊藤孝志と共にスペシャルティー・ティーサロン「ラヴォンド ティー サロン」をオープンした。きっかけは?
楠本修二郎カフェ・カンパニー社長(以下、楠本):伊藤くんが作るミルクティーが絶品で、それがきっかけで本格的にお茶を始めようと思った。ミルクティーって、メルヘンで女の子の飲み物というイメージだったが、飲んだ瞬間“パンク”だと思った。すごくインパクトがあった。お茶は心を落ち着かせてくれるだけではなく、高揚させてくれるエネルギーもあるなって。そうしたお茶の可能性を追求したいと思った。
WWD:「アルフレッド」との出合いは?そして、魅力とは?
楠本:LAでたまたま見つけたお店。ピンクやグリーンなどのカラーパレットが日本で新しいし、映えると思った。これは僕たちでも出せないカラー。NYとは違うカルチャーが根付くLAは気候も含めて、行くたびにスマイル&ハッピーにしてくれる。「アルフレッド」の2人こそ、LAのそうした気分と共に日本に楽しさを運んでくれると思った。East meets West. 西洋と東洋のお茶文化を交え、国籍を感じない挑戦的で新しいメニューを開発していきたい。
WWD:青山店はLA本店と違う点は?
ジョシュア・ザッド「アルフレッド」創始者兼CEO(以下、ジョシュア):チャーミングな印象。ソファーを並べた2階は、ラウンジのようにリラックスした雰囲気になっている。大通りを少し入った場所にあるLAの店舗は少しこぢんまりとしているけど、違ったムードで心地いいよ。
WWD:「アルフレッド」のティーのこだわりは?
ジョシュア:「アルフレッド」は元々コーヒーから始まったブランドで、コーヒーのノウハウはあった。でもティーは知らなかった。まず、「アルフレッド」流にポップ&ファン、かわいくてワクワクするようなティーを思い立った。だけど、中国の伝統的なお茶文化を取り入れた本格的な味わいを追求しているよ。
WWD:ティーの面白いところは?
ジョーダン・G・ハーディン「アルフレッド」ビバレッジ・ディレクター(以下、ジョーダン):神秘的なところ。茶葉をお湯に入れたときのヒラヒラと舞うさまは、シンプルだけど味に偶発性をともなう。ワインの味が時間を経て変わるように、紅茶も温度や時間で変わる。その変化はまるで世界がふっと変わるよう。そこが面白い。
伊藤孝志「ラヴォンド ティー サロン」店主(以下、伊藤):言葉がいらないところ。静かにお茶をたてる茶道は常にインスピレーションの源になる。自分自身、お茶をいかに美しく表現するかを大事にしている。「ラヴォンド ティー サロン」はどちらかというとラグジュアリーな雰囲気で最高級のお茶を提供している。一方で「アルフレッド」は、カジュアルさを加えて、女性心をくすぐるかわいらしさをも持っている。そこは彼らと出会って一番驚いた点。新たな発見だった。それから僕も若い子にもお茶を知ってもらいたいと思い始めた。
WWD:「アルフレッド」の人気メニューは?またおススメは?
ジョーダン:“ストロベリーミルクティー”はLAでとても人気だよ。東京にある“抹茶ラテ”は奈良の大和高原の最高級抹茶を使用していて、とても香りがいいからおススメ。“抹茶サンライズ”はLAから持ってきたメニュー。東京では珍しいだろうから、是非楽しんでほしい。
WWD:今回日本オリジナルメニューも共同開発した。ドリンクを“デザイン”するということはどういうこと?
伊藤:それぞれこだわりが強いが、お互いを尊重しながらアイデアを出し合うことができた。「アルフレッド」はミルクティーなど定番のメニューをどうワールドワイドなものにするかを考える。特にジョーダンとは好みが似ていて、2人で新しい茶葉の話をしたり、試飲しあったりしてとても楽しかった。
ジョーダン:そう、言葉がなくてもティーで会話をしているような感じ。だから日本メニューも、日本とアメリカで経験を積んだ2人のアイデアが素直に落とし込まれている。日本っぽいアメリカっぽいなんてことを感じないよね。
WWD:今回日本上陸で世界進出を果たした。今後どのような取り組みをしていきたい?
ジョシュア:カフェ・カンパニーと組めてとてもうれしく思っている。“ティー”という一つものから、お互いのアイデアやブランドの作り方、食についての考えなど共通点も多くて、垣根のないバリアフリーのような関係がもてた。これからさらに新しいメニュー開発にも取り組んでいきたいと思っているよ。