「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」が発売する「ペタル 55 ファンデーション ブラシ」が売れている。「ペタルスキン フルイド ファンデーション」(5000円)との併用を想定したブラシで、価格は6000円とファンデーションより高価。それでも、このファンデーションを購入した7割の人がブラシも買うという。なぜ、ここまで人気なのか。
このブラシの制作に携わったプロダクトデザイナーでもある浅野裕司「シュウ ウエムラ」インターナショナルチーフメイクアップアーティストは先日「シュウ ウエムラ」の新作発表会で行われたトークショーに登壇し、「会社からは『ファンデーションより高いブラシなんて』とコスト面で話し合うこともあったが、このクオリティーは譲らなかった」と誕生秘話を語った。ブラシとスポンジのメリットだけを持つツールを目指し、制作期間は約10年。軽やかで薄くナチュラルな仕上がりを作り、筋ムラを残さないブラシに出来上がった。
ブラシは独特の形をしており、一見「持ちにくそう」「毛が密集し、固くて痛いのではないか」という印象すら受ける。しかし、実際使用すれば印象は180度変わる。ブラシには毛が約18万9000本密集しているが、毛は先端に近づくにつれて細くなっているため肌に触れても抵抗感はない。目を閉じて肌に触れると、まるでパフのような柔らかさを感じる。
手に出したファンデーションをブラシの半分に刷り込んで馴染ませたら、あとは撫でるように肌に乗せるだけ。大きなブラシだが、先端を使えば小鼻周りなど細かいところも綺麗に塗ることができる。パウダーに使用することも可能で、日々のお手入れはティッシュにブラシを撫でるだけで良いという優れものだ。
また、持つと驚くほど手にフィットする。この形状は浅野のスケッチなどを元に、建築家の乾久美子が計算して作り上げた。浅野はブラシの毛だけでなく形にまでこだわり、デザインの過程で浅野自ら木彫りの試作品まで作ったという。毛束と持ち手の構造は、特許出願中だ。
そのこだわりが消費者に届き、大きな支持を受ける要因となっている。「コストのことを気にして中途半端なものを提供するのは駄目。意味のあるものにしなければならない」と浅野。3月1日には限定色のピンクが発売される。