三井物産は18日、ビギホールディングスの全株式を取得すると発表した。取得後の持ち株比率は、三井物産系のMSDファンドが66.6%、三井物産が33.4%になる。取得金額は非公表。三井物産はビギ、メルローズ、メンズ・ビギ、パパスなどを擁する年商500億円のビギHDを傘下に収めることで、川下事業を強化する。創業者で代表取締役会長を務める大楠祐二氏は名誉顧問に退く見通し。三井物産は社長を含めた新しい役員陣を送り込む。
ビギHDは1970年に大楠氏が菊池武夫氏や稲葉賀恵氏らと創業。日本のデザイナービジネスの黎明期をけん引し、特に80年代にはDCブランドブームの主役になった。現在も子会社を通じて「ヨシエイナバ(YOSHIE INABA)」「メンズ・ビギ(MEN'S BIGI)」「パパス(PAPAS)」「ヨーガンレール(JURGEN LEHL)」「ピンクハウス(PINK HOUSE)」「コンバース トウキョウ(CONVERSE TOKYO)」など多くのブランドを展開しており、業界での存在感は大きい。
三井物産は子会社の三井物産アイファッションを通じてビギHDのOEM(相手先ブランドの生産)事業で30年以上の取引があり、信頼関係を築いてきた。ビギHDは三井物産の傘下に入ることで、三井物産が世界中に持つ素材調達や製造、物流、流通、IT、財務、人材などのネットワークや知見を活用できる。一方、昨年5月に発表した中期経営計画で川下強化を掲げた三井物産は、手薄だったファッション小売りの分野の成長につなげる意向だ。