伊藤忠商事は、4月1日付で岡藤正広・社長(68)が代表権のある会長兼CEO(最高経営責任者)に就任し、社長兼COO(最高執行責任者)に鈴木善久・専務執行役員(62)が昇格するトップ人事を発表した。同社がCEO、COO職を設置するのは初めて。岡藤氏は引き続きグループ全体の陣頭指揮を執る。
繊維部門出身の岡藤氏は2010年の就任以来、強力なリーダーシップを発揮。総合商社の中で万年4位が定位置だった伊藤忠の純利益を16年3月期に首位に押し上げた。14年から15年にかけては、タイ財閥のチャロンポカパン、中国のCITIC(中国中信集団)と資本提携を結び、アジアの巨大消費市場での収益拡大に乗り出すなど、大型プロジェクトを指導した。カリスマ経営者として名声を集めた岡藤氏は、慣例では6年で交代する同社の社長職を、金融機関や取引先からの留意もあって延長していた。今春で社長就任丸8年になるため、その去就が注目されていた。
新社長の鈴木氏は東京大学工学部を卒業後、1979年に同社に入社。主に航空・宇宙部門でキャリアを重ね、2016年から現職に就いていた。