ファッション

UK出身21歳の新鋭アーティスト、ムラ・マサとは? 「ファッションは音楽を可視化する大切な方法」

 プロデューサーやDJとして活動するムラ・マサ(Mura Masa)こと、アレックス・クロッサン(Alex Crossan)。昨年この名を何度耳にしたかわからないほど、2017年はムラ・マサの年だった。1996年生まれの21歳の彼は、イギリスの孤島・ガーンジーに暮らす音楽一家に育ち、15、6歳の頃にはすでに曲作りをしていたという。作り出す楽曲の多くは、エレクトロニック・ミュージックでありながらヒップホップや民族音楽的要素を感じさせ、スティールパンの音色やさまざまなサンプリング音が混ざり合うどこか懐かしくもメロウなサウンドだ。


最新アルバム「MURA MASA」の1曲目に収録されている「Messy Love」。「Take me, break me(僕を連れて行って、滅茶苦茶にしてよ)」と言った狂気的な歌詞ながらメロディーはそれを感じさせないアップチューンで人気

 2017年発表で第60回「グラミー賞」にもノミネートされている自身の名を冠した最新アルバム「MURA MASA」には、その才能に惚れ込んだというエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)やゴリラズ(Gorillaz)のデーモン・アルバーン(Damon Albarn)など豪華ゲストが参加、アーティストにもファンが多い。

 1月5日には、「フジロックフェスティバル 2016(FUJI ROCK FESTIVAL 2016)」以来、約1年半ぶりとなる来日公演が行われた。会場となった東京・恵比寿のリキッドルーム(LIQUIDROOM)には、耳の早いファンが多く訪れ、「MURA MASA」をひっさげての久しぶりの来日公演ということもあり熱気に包まれていた。その直前、わずかな時間ではあったがインタビューを敢行。アーティストになったきっかけや、曲作り、ファッション感などについて話を聞いた。

WWD:まず1つ、みんなが気になっていると思うので聞かせてください。ムラ・マサというアーティスト名の由来はなんですか?

ムラ・マサ:知ってると思うけど、日本が由来なんだ(笑)。イギリスの男の子は日本のポップカルチャーが大好きで、僕も幼い頃に「ポケモン」だったり「鋼の錬金術師」に代表される日本のアニメやゲームに触れて育ってきたんだ。だからそれを音楽にも要素として取り入れたくてね、この名前になったんだ。

WWD:それでは“ムラマサ”が日本刀の“村正”ということもご存知で?

ムラ・マサ:もちろん!日本文化にも興味があって、“村正”を知った時に響きが面白くて気に入ったんだ。みんなに詮索されるけど、特に深い意味はないよ(笑)。


2000万回超えの再生回数を誇る代表曲の1つ「What If I Go?」。冒頭では日本語がサンプリングに使用されている。手掛けたのは気鋭・映像監督のヨニ・ラッピン

WWD:アーティストになったきっかけは?

ムラ・マサ:両親も兄弟もミュージシャンの音楽一家に生まれたんだ。だから小さい頃から音楽に囲まれて育って、ロックバンドやパンクバンドを結成していたこともある。

WWD:曲作りはいつ頃から?

ムラ・マサ:兄弟とバンドを組んでいた頃からだから……15歳くらいからかな?ムラ・マサとしていまのようなエレクトロニックな音楽を作曲したりプロデュースするようになったのは17歳くらいで、最近の話なんだ。きっかけはパソコンがあれば1人で自由に、お金もかからず、身軽に音楽を制作できること。それがとにかく魅力的で面白かったから。当時、お金がなかったのも理由だね(笑)。バンドは人や楽器、機材、スタジオって……大変だよ。

WWD:ちなみにバンドではどのパートを?

ムラ・マサ:ギターとベース。バンドはいくつか組んでいたんだけど、そのうちの1つのバンド名がソー・コールド・ザ・リバー(So Called, The River)っていうんだ。いま思うと変な名前だよね(笑)。

WWD:ムラ・マサとして活動を始めた時、誰にインスピレーションを受けましたか?

ムラ・マサ:エレクトロニック・ミュージックに興味を持ったのは、ジェイムス・ブレイク(James Blake)がきっかけ。それまでエレクトロニック・ミュージックっていうと、ダンス・ミュージックだったりクラブ・ミュージックとか、そういう類いのものと考えていた。でもジェイムス・ブレイクの音楽は感情的で繊細、だからすごく気に入ったんだ。

DJでプロデューサーのハドソン・モホーク(Hudson Mohawke)と、彼がルニス(Lunice)と組んでいる音楽デュオ、トゥナイト(TNGHT)もだね。カニエ・ウェスト(Kanye West)のような音楽を作っていて、強い影響を受けているよ。ロンドン出身のブリアル(Burial)って伝説的なプロデューサーがいるんだけど、彼もすごく尊敬している。あとはレディオヘッド(Radiohead)、プリンス(Prince)、ビョーク(Bjork)、ジェイミー・エックス・エックス(Jamie xx)とかかな。

WWD:あなたの音楽を聴いていると、孤島出身ということが深い影響を与えているように感じます。

ムラ・マサ:ガーンジー島だね、それは自分でもすごく思うよ。メーンストリームには触れることがない遠く離れた環境で育ったことが、僕をユニークにしてくれた。ガーンジー島は静かできれいで、大好きだよ。

WWD:曲は日常でパッとアイデアが浮かぶタイプですか?また、曲作りの際に気をつけていることはありますか?

ムラ・マサ:集中する時もあるし、曲次第かな。映画を観てたり、歩いてる時に急にアイデアが出てくることが多いけど、そういうときは急いでパソコンの電源をオンにして書きとめるよ(笑)。曲作りは、とにかくオープンマインドでいることが大事だと思ってて、あえて1つ気を付けていることを挙げるとするならば、自分自身を信じて、音楽を楽しむ心。他人がどれだけ自分の音楽を楽しむか、どうすれば楽しんでもらえるか、そんなの僕には関係ないんだ。とにかく自分の音楽を信じる、それだけで十分さ。

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