パーフェクト コープ(PERFECT CORP.)は、自社が開発するバーチャルメイクアプリ「ユーカムメイク(YOUCAM MAKEUP)」に新たに搭載したAI(人工知能)とAR(オーグメンテッド・リアリティー以下、AR)を組み合わせた機能を米ラスベガスで開催された「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CONSUMER ELECTRONICS SHOW)」で発表した。
新機能によって、気になるヘアカラー、ヘアスタイルをアプリ上でシミュレーションすることができるようになった。気に入ったメイクアイテムがあればブランドのECサイトに誘導され、購入することも可能。従来あるような、スタンプとしてチークやアイシャドウを顔に乗せるのではなく、実際にメイクを施したような自然な形で表現されるため、実際に施した時との差が小さい点が特徴だ。特にリップは、マット、グロッシー、メタリックなどの質感まで忠実に再現される。また、読み取った映像を分析して、ライティングや肌の質感を学習する。それに基づいてメイクを施すため、同じメイクを選択しても使用者によって仕上がりが異なるという。
また、新たに搭載された機能“AIルック・トランスファー(AI LOOK TRANSFER)”は、雑誌などに掲載されているメイクの画像を取り込むと、ARを駆使して同様のメイクが自分の顔にも施されるというものだ。
同社が目指すのは“遊びで終わらない”メイクアプリの開発だという。「ビジネスとして成立させるためには、遊びの域にとどまらない現実的なものが必要だ」と語るのは、創業者兼最高経営責任者(CEO)のアリス・チャン(Alice Chang)だ。同社はこの信念の下、アプリで試したアイテムを気に入った場合、そのブランドのECサイトに誘導して購買につなげる仕組みを作った。「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」「M・A・C」「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」などが同アプリと提携している。
さらに、同アプリには肌年齢を測定する機能も新たに搭載。肌年齢の他にも、シワ、肌のキメ、しみ、くまなども検知してデータとして蓄積する。それらのデータは“マイ・スキン・ダイアリー(MY SKIN DIARY)”に登録され、定期的に登録することで、状態の変化をチェックすることができる。「この機能が優秀な点は、0.2秒で顔の120カ所を検知するところ」だという。
同アプリは実店舗でメイクを試す感覚で使用できるうえ、実際にメイクを試した時に発生するメイクオフのストレスの解消や時短につながる。また、他人の目を気にせず大胆なメイクもこっそりと試すことができるのも利点の一つだ。チャンCEOは「デジタル・ビューティの将来はAIとARがなくては実現不可能だ。いつの日か、バーチャルなビューティ・アシスタントが登場する。そのためにはまだまだ開発が必要だが、それが最終的なゴールだ」と目標を語った。
同アプリは世界中でダウンロード数5億2500万を数える。また、セミセルフ型のショップ、フルーツギャザリング(FRUIT GATHERING)とも協業し、店舗にアプリを設置している