エディ・スリマン(Hedi Slimane)の「セリーヌ(CELINE)」就任は、その売上高を2倍にするための起爆剤であり戦略のようだ。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「エディがグループに戻ってきてくれてとても嬉しい。『ディオール オム(DIOR HOMME)』で一緒に仕事をした時から、ずっと彼を尊敬している。『セリーヌ』に起用したのは、野望があるからだ。すべてを監修し、売上高10億ユーロ(約1350億円)目前のメゾンをさらに大きくしてほしい」と話す。
シドニー・トレダノ(Sydney Toledano)=LVMHファッショングループ会長兼CEOは、「エディは比類なきデザイナー。完璧主義の芸術家であり、情熱家だ。新たなクリエイティビティで、『セリーヌ』をさらなる成功に導くだろう」と話す。
「セリーヌ」にとって最初のメンズの路面店は、19年春にもオープン予定。エディは「アルノー会長とともに仕事ができることに喜びを感じている。メンズは『セリーヌ』にとって、とても魅力的なミッション。ファッション業界を盛り上げられたら」とコメントした。
エディは昨年12月、10年間の関係に終止符を打ったフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)の後任を務める。大人な女性像を築いたフィービーに対し、エディはエッジーなマインドを投入することが予想される。フィービーはLVMHとの競業避止契約のため18年秋までは他のメゾンで働けない見通しだ。
業界筋によると、エディはロサンゼルスに構える自宅でクリエイションに臨むようで、「セリーヌ」は主要なアトリエをLAに移すようだ。エディはゆくゆくはメンズのメード・トゥー・メジャーにも取り組む予定。年内には彼が監修した香水も発売予定だ。エディは「サンローラン(SAINT LAURENT)」時代、ロレアル(L‘OREAL)による「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」に直接携わることはなかったが、「ディオール オム」時代には香水のほかスキンケアラインを発売した。
世界に約150ある店舗についてもエディが監修する。