ブランド買取販売のコメ兵が1月、自社ECサイトにオンライン試着サービス「バーチャサイズ(Virtusize)」を導入した。EC経由の返品理由の半数を占めるという“サイズ違い”を減らす目的だ。特にさまざまな国のブランドを扱うリユースサイトだけにサイズ表記もまちまちで、中古品に限ってはお直しをしているものまであるため、サイズに対する顧客の不安が大きいのだという。「バーチャサイズ」は手持ちの洋服と購入したい洋服を画面上で重ね合わせ、サイズを比較することができるサービス。スウェーデンで2011年に創業し、日本ではユニクロ(UNIQLO)、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)、マガシーク(MAGASEEK)といったアパレルにも広く導入されている。
マルイも自社ECサイト「マルイウェブチャネル」を“試着できなくても失敗しない”サイトにすべく、さまざまな改良を行っている。25日からは過去の購入商品とサイズ比較ができるサービスを導入し、29日以降はSML表記に加えてcm単位で検索できるような仕組みを整える計画だ。
これほどアパレルECがサイジングに注力するのは、もちろん売り上げに大きく影響するからだ。「バーチャサイズ」では導入企業が平均して購入単価を20%増加、返品率は30%減少しているという。EC商品を店頭に取り寄せて試着してもらう、いわゆる“取り寄せサービス”を導入する企業も多いが、企業としては店頭とECで在庫データを連携させる必要がある上、消費者にわざわざ店頭まで来てもらうハードルは高い。「バーチャサイズ」でも自前のアイテムと比較する際に、自分で洋服を採寸、何カ所の数値を入力する必要はあるが、店頭に出向くことを考えれば格段に手間はかからない。
オンライン試着サービスが目指すのは、「ネットは試着ができないから不安」という消費者の声を、「ネットは試着をしなくてもぴったりな洋服が買えるから便利」というポジティブな印象に変えることだ。自宅採寸したデータをもとにネットだけで買い物ができるオンラインオーダースーツの「カシヤマ・ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」や“ZOZOSUIT”も方法こそ異なるが、目的は同じだろう。こうして、さまざまなサービスの普及によって「ネットで試着をしなくてもぴったりな洋服が買える」時代になれば、試着の概念だけでなく、実際の試着がメリットだった実店舗の役割が大きく変わることは間違いなさそうだ。