1989年にオープンした「ザラ(ZARA)」のニューヨーク(NY)1号店の年内閉店を巡り、地主であるインターナショナル プラザ アソシエイツ(INTERNATIONAL PLAZA ASSOCIATES以下、IPA)は、「ザラ」に1500万ユーロ(約20億円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。
渦中のNY1号店はマンハッタンの東、レキシントン通り750番地に位置する。地主であるIPAは、「ザラ」が一度は契約延長する意思を見せていたにもかかわらず、一方的に2018年9月の閉店を決めたと裁判所に訴えた。IPAによると、16年の時点で「ザラ」から5年の契約延長の意思を示されたが、17年11月に受領した書面で撤退を通知されたという。
IPAは「ザラ」の契約不履行や信義則違反を主張し、「ザラ」に当初の意向通り5年の契約延長を行うか、「ザラ」が撤退した場合に発生すると見込まれる損害1500万ユーロ(約20億円)の支払いを命ずるよう請求した。
それに対して「ザラ」は、契約延長に関しては明文化しておらず、IPAの主張する契約不履行や信義則違反は存在しないと主張し、事案の棄却を求めた。また、「ザラ」は撤退に関する書面を送ったことは認めたが、それは賃料交渉が決裂したためだと主張。書面を送る前にIPAと交渉の場を持ったが合意には達しなかったという。「IPAの主張は常識とNYの州法に反する」と主張した。
「ザラ」の親会社インディテックス(INDITEX)からはコメントを得られなかった。
NY1号店が閉店すると、「ザラ」のマンハッタンの店舗は8店となる。インディテックスの経営状況は依然として好調だが、4半期ごとに20%以上の成長を続けていた16年度と比べると17年度は成長曲線が緩やかになっている。
IPAは不動産ディベロッパーの大富豪、チャールズ・コーエン(Charles Cohen)が経営するコーヘン ブラザーズ リアルティー(COHEN BROTHERS REALTY)の子会社だ。