ストライプインターナショナルは、2018年度(19年1月期)に国内で出店攻勢をかける。衣料品の販売不振やECへのシフトによって、競合各社の新規出店が減速する中、グループで計182店をオープンする。「おそらく日本で一番の出店数だろう」(石川康晴・社長)。各社が新規出店に慎重になっている状況をショッピングセンター(SC)内で一等地を確保するチャンスと見て、シェア奪取に勝負をかける。
17年度の期末店舗数1332店に対して、18年度は1433店の予定のため、純増は101店の見込み。新規出店数が多いのは、ストライプがRSC(広域型SC)で展開する「アメリカンホリック(AMERICAN HOLIC)」40店、RSCとNSC(近隣型SC)に出す「グリーンパークス(GREEN PARKS)」39店、子会社のキャンによる「SM2(サマンサ モスモス)」47店と「テチチ(TE CHICHI)」23店の4ブランド。これらは既存店の好調を受けて一気にアクセルを踏む。一方で主力の「アース ミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC&ECOLOGY)」は12店に抑える。
同社は数年かけてQR(クイックレスポンス)に取り組んできた。シーズン当初の初期投入量を減らし、売れ筋商品を1カ月前後の短納期で作り足す仕組みを定着させた。プロパー消化率の改善で既存店の収益性が回復したことで、大量出店に踏み込めると判断した。
ストライプは18年度の事業方針として「SPA(製造小売り)」「プラットフォーム」「M&A(企業の買収・合併)」の3本柱をグローバルで推進することを掲げる。SPAが前述の大量出店を指す。プラットフォームは自社EC「ストライプクラブ(STRIPE CLUB)」、服のレンタルアプリの「メチャカリ(MECHAKARI)」、間もなく開設を予定するF2層(35~49歳の女性)を対象にしたECモールの強化だ。メチャカリはすでに他社ブランドの取り扱いが自社ブランドを上回っており、F2層向けECモールは全て他社ブランドで構成する。社内にもIT人材を相次いで採用し、従来型のアパレルの枠に当てはまらないプラットフォーム企業への移行を進めている。M&Aは17年にグループ化したベトナムのNEM、インドネシアのボボボボに続き、経済成長著しい東南アジアへの投資を検討する。これらの施策を推進し、18年度に連結売上高1450億円超(17年度は1300億円の見通し)を計画する。
石川社長は目指すべき新しい企業像として「第4世代テックアパレル」を標ぼうしている。「ザラ(ZARA)」「ユニクロ(UNIQLO)」のようにグローバルで店舗網を拡大するSPA企業と、アマゾンなどに代表される社会インフラの側面を持ったプラットフォームを持つテック企業。この2つを併せ持つ企業を目標に掲げる。目指すべき姿が見えてきたことで、一度は棚上げしていた東証一部への上場に再び挑む。今年の秋から冬にかけての上場を計画する。