韓国発ファッション通販サイトの「ディーホリック(DHOLIC)」が、ここ3年で売り上げ40%増と好調だ。その要因は独自に築き上げたECならではのビジネスノウハウにある。そのスキームについて、同社に直撃取材した。
「ディーホリック」を運営するDHOLIC FBL(旧ZIPIA)は2007年に日本で創業し、08年に通販サイトを立ち上げた。その後、ルミネエストを皮切りに名古屋や大阪など、国内に5つの実店舗を出店。17年9月には韓国コスメを扱うセレクトショップ「クリマレ バイ ディーホリック(CREE'MARE by DHOLIC)」もオープンした。
「ディーホリック」といえば“韓国ブランド”というイメージを持たれがちだが、そうではない。オリジナルコスメ「バビメロ(VAVI MELLO)」やスイムウエアといった一部オリジナル商品こそあるが、韓国で仕入れたアパレル商材を扱う日本の通販サイトだ。扱う商品も韓国トレンドだけではなく、日本のファッショントレンドを意識したラインアップを含む。とはいえ、ここ数年の韓国ファッションのブームについては、「韓国トレンドから当社を知ってくださることも多く、非常にありがたい」と話す。
実店舗もあるが、売り上げの90%はネット経由だ。ネットには毎日ウィメンズ商品だけでも30〜40着が入荷されるが、掲載から24時間限定で全商品を10%オフにする。初日しかチャンスがないからと、毎日サイトを訪れる顧客も多い。“8000円以上送料無料”も後押しとなり、欲しいものがあった際には購入をためらっていた他商品との併せ買いが多いのだという。その甲斐あってトップス1000円〜、ボトムス2000円〜、アウター4000円〜という手頃な価格にもかかわらず、購入単価は8000〜1万円と高額だ。
最大の特徴は、ネットで扱う商品に関して、一切の在庫を持たないことだ。ネット上の注文データは買い付けを担う韓国の取引先に送信され、注文数だけを買い付ける。入手した商品は品川の「ディーホリック」の倉庫を経て、最短4日で顧客に届く。自社サイト以外で唯一商品を扱う楽天市場も自動のデータ連携をしているだけで、注文データは一括してDHOLIC FBLから韓国へ届けられる。扱う商品のラインアップは日本のトレンドをベースに韓国の取引会社との話し合いで決めていく。サイトで使用する画像素材も取引先に一任をしているため、DHOLIC FBLの業務はサイト運営と商品企画などがメーンとなっている。
在庫リスクがないため、もちろん売り切りのためのセールは行わない。掲載初日の値下げやキャンペーンは全て集客のためだ。店頭ではネットで人気が高い商材を中心にセレクトした一部商品を扱う。掲載初日の売り上げをもとに商品を選ぶため、人気商品については店頭で実物を見ることもできるという仕組みだ。
店頭には火曜日を除く毎日売れ筋を4〜5型を入荷するが、初回は1型20着程度の用意とし、売り切りを目指す。それでも人気のあった商品は再入荷時には約50〜100着を店頭に積むという流れで、在庫リスクを最小化するという。「注文後の仕入れでは、在庫数が不安定になるのでは?」と聞けば、「商品切れのために買い付けができない場合は滅多にない」。この独自の仕入れルートを確保できたことこそが、同社の成長を支えているという。